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2020 Fiscal Year Research-status Report

Elucidation of physiological functions of serine threonine phosphatase PP6

Research Project

Project/Area Number 20K06545
Research InstitutionNara Women's University

Principal Investigator

渡邊 利雄  奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (60201208)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywords脱リン酸化酵素 / PP6 / 活性化型K-Ras / オートファジー / 胎児肝臓造血 / 骨髄移植
Outline of Annual Research Achievements

申請時に設定した3つの問に分けて研究実績の概要を報告する。
(1)造血系(幹細胞)におけるPP6の生理機能は?
Tie2-Creでの欠損効率が予想外に低いことが判明した。そこで、現在欠損が誘導された細胞のみを回収できるようにCreによりYFP発現が同時に誘導できるマウスを作製中である。また、この系では「胎児期」の造血系での機能解析しかできないことは分かっていたので、成体での解析かつ高効率の欠損誘導を期待して、Ppp6c (flox/flox); ERT2-Creマウスの造血細胞画分を移植して、造血系でのみ欠損を誘導できる移植マウスの樹立に成功した。しかしタモキシフェンの添加によりCre依存的欠損を誘導したところ、タモキシフェンにより誘導される効果なのか造血の亢進効果が大きく出て、Ppp6c欠損の効果が解析できたとは判断できなかった。(2)PP6がオートファジー誘導に関与する分子メカニズムは?PP6はオートファジー活性に重要なP62に依存したオートファジーにより分解制御されていることを示し、がん細胞でのPP6タンパク質の蓄積は、部分的にではあるがオートファジーの欠損による可能性があることを示すことに成功した。(3)腫瘍形成時には増殖促進、正常細胞時には増殖抑制とPpp6c欠損効果が真逆になるパラドックスの理由は?活性化型K-Ras発現Ppp6c欠損MEF細胞は増殖可能で維持できることを見出した。一方、活性化型K-Rasを発現していないPpp6c欠損MEF細胞は増殖できず維持でないことを見出した。同時に、単層培養のコロニー形成では、活性化型K-Ras発現Ppp6c欠損MEF細胞とPpp6c非欠損細胞とでは明確な差が見られないことが判明した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

(1)造血系(幹細胞)におけるPP6の生理機能は?Tie2-Creでの欠損効率が予想外に低いことが判明した。そこで、現在欠損が誘導された細胞のみを回収できるようにCreによりYFP発現が同時に誘導できるマウスを作製中である。また、成体での解析かつ高効率の欠損誘導を期待して、Ppp6c (flox/flox); ERT2-Creマウスの造血細胞画分を移植して、造血系でのみ欠損を誘導できる移植マウスの樹立に成功した。しかしタモキシフェンの添加によりCre依存的欠損を誘導したところ、タモキシフェンにより誘導される効果なのか造血の亢進効果が大きく出て、Ppp6c欠損の効果が解析できたとは判断できなかった。コロナ感染拡大により、大学間の交流ができなくなり、その後の移植実験と解析とは実施できていないのは、正直痛かった。
(2)PP6がオートファジー誘導に関与する分子メカニズムは?PP6はオートファジー活性に重要なP62に依存したオートファジーにより分解制御されていることを示し、がん細胞でのPP6タンパク質の蓄積は、部分的にではあるがオートファジーの欠損による可能性があることを示すことに成功し論文公表にも成功した。この解析はとりあえずの目標を達成したので、新たに個体レベルでの他の解析を試みることにする。
(3)腫瘍形成時には増殖促進、正常細胞時には増殖抑制とPpp6c欠損効果が真逆になるパラドックスの理由は?活性化型K-Ras発現Ppp6c欠損MEF細胞は増殖可能で維持できることを見出した。一方、活性化型K-Rasを発現していないPpp6c欠損MEF細胞は増殖できず維持でないことを見出した。同時に、単層培養のコロニー形成では、活性化型K-Ras発現Ppp6c欠損MEF細胞とPpp6c非欠損細胞とでは明確な差が見られないことが判明した。

Strategy for Future Research Activity

申請時に設定した3つの問いに分けて今後の推進方針を記載する。一部目的を達した問もあるので、新たな問への挑戦も開始する。
(1)造血系(幹細胞)におけるPP6の生理機能は?Tie2-Creでの欠損時にCreによりYFP発現が同時に誘導できるトリックを使い、欠損された細胞(Creが働いた細胞)のみを回収することで、「胎児期」の造血系でのPpp6c欠損の効果機を再度解析する。大学間の移動が許可され次第、Ppp6c (flox/flox); ERT2-Creマウスの造血細胞画分を移植して、造血系でのみ欠損を誘導できる移植マウスを用いたPpp6c欠損の効果解析を再度試みる。その際に、新たに導入したマウスを用いて、欠損時にCreによりYFP発現が同時に誘導できるトリックを使い、欠損された細胞(Creが働いた細胞)のみを回収することで、成体造血におけるPpp6c欠損の効果解析を試みる。
(2)腫瘍形成時には増殖促進、正常細胞時には増殖抑制とPpp6c欠損効果が真逆になるパラドックスの理由は?単層培養のコロニー形成では、活性化型K-Ras発現Ppp6c欠損MEF細胞とPpp6c非欠損細胞とでは明確な差が見られないことが判明した。軟寒天培地でのコロニー形成、道警マウスへの細胞移植による腫瘍形成能の測定により、両者の差が見られるかを検討する。同時に、Ppp6c欠損MEF細胞での活性化型K-Ras発現の有無による増殖能の違いを探るために、細胞増殖に関係が深いMAPキナーゼ種の発現変動をウエスタン法にて解析する。
(3)リン酸化反応が重要なことが判明している、神経系と脂肪細胞系でのPP6の機能を探るために組織特異的欠損を、新しいCreマウスを導入して解析する。

Causes of Carryover

新型コロナウイルス感染拡大による大学の活動停止期間があったため、予定していた解析を行えなかった。新型コロナウイルス感染拡大による大学外機関の活動停止期間と、他大学での入構制限等のために共同研究の実施が行えなかったため。これらの予期せぬ事態のために、当該助成金が生じてしまった。
翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画としては、中断していた他機関での技術習得を新年度に速やかに行う。中断していたマウスの繁殖を積極的に行う。理研の行動制限が解かれ次第、解析に必要な遺伝子改変マウスの導入を早期に行う。これらのために、繰り越した予算分を優先的に使用する。

  • Research Products

    (7 results)

All 2021 2020

All Journal Article (5 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 5 results,  Open Access: 5 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Arf1 and Arf6 synergistically maintain survival of T cells during activation.2021

    • Author(s)
      Mami Sumiyoshi, Yui Kotani, Yuki Ikuta, Kazutomo Suzue, Madoka Ozawa, Tomoya Katakai, Taketo Yamada, Yasunori Kanaho, Toshio Watanabe, and Satoshi Matsuda
    • Journal Title

      J Immunology

      Volume: 206 Pages: 366-375

    • DOI

      10.4049/jimmunol.2000971

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Ppp6c haploinsufficiency accelerates UV-induced BRAF(V600E)-initiated melanomagenesis.2021

    • Author(s)
      Kanazawa, Kosuke; Kishimoto, Kazuhiro; Nomura, Miyuki; Kurosawa, Koreyuki; Kato, Hiroyuki; Inoue, Yui; Miura, Koh; Fukui, Katsuya; Yamashita, Yoji; Sato, Ikuro; Tsuji, Hiroyuki; Watanabe, Toshio; Tanaka, Takuji; Yasuda, Jun; Tanuma, Nobuhiro; Shima, Hiroshi
    • Journal Title

      Cancer Science

      Volume: 112 Pages: 2233-2244

    • DOI

      10.1111/cas.14895

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Picalm reduction exacerbates tau pathology in a murine tauopathy model.2020

    • Author(s)
      Kunie Ando, Robert De Decker, Cristina Vergara, Zehra Yilmaz, Salwa Mansor, Valerie Suain, Kristel Sleegers, Marie-Claude Potier, Charles Duyckaerts, Toshio Watanabe, Luc Buee, Karelle Leroy, Jean-Pierre Brion and the Brainbank Neuro-CEB Neuropathology Network.
    • Journal Title

      Acta Neuropathologica

      Volume: 139 Pages: 773-789

    • DOI

      10.1007/s00401-020-02125-x.

    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
  • [Journal Article] Chlorpromazine eliminates acute myeloid leukemia cells by perturbing subcellular localization of FLT3-ITD and KIT-D816V.2020

    • Author(s)
      Shinya Rai, Hirokazu Tanaka*, Mai Suzuki, J. Luis Espinoza, Takahiro Kumode, Akira Tanimura, Yasuyoshi Morita, Yoichi Tatsumi, Takafumi Yokota, Kenji Oritani, Toshio Watanabe, Yuzuru Kanakura, and Itaru Matsumura.
    • Journal Title

      Nature Communications

      Volume: 11 Pages: 4147

    • DOI

      10.1038/s41467-020-17666-8

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Autophagy regulates levels of tumor suppressor enzyme protein phosphatase 6.2020

    • Author(s)
      Nobuyuki Fujiwara, Shusaku Shibutani, Yusuke Sakai, Toshio Watanabe, Issei Kitabayashi, Hiroko Oshima, Masanobu Oshima, Hisashi Hoshida, Rinji Akada, Tatsuya Usui, Takashi Ohama*, Koichi Sato.
    • Journal Title

      Cancer Science

      Volume: 111 Pages: 4371-4380

    • DOI

      10.1111/cas.14662.

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] ウイルス感染に対するMul1欠損細胞の応答解析 Analysis of how Mul1-KO MEFs response to virus infection.2020

    • Author(s)
      天津 友貴、松尾 尚輝、山本 采佳、中嵜 詩乃、小河 穂波、一戸 猛志、小柴 琢己、渡邊 利雄
    • Organizer
      第43回日本分子生物学会年会
  • [Presentation] Mul1遺伝子欠損マウスは不妊性を示す Mul1-deficient mice show infertility.2020

    • Author(s)
      吉岡ゆきの、天津 友貴、山本 采佳、安田恵子、小柴 琢己、渡邊 利雄
    • Organizer
      第43回日本分子生物学会年会

URL: 

Published: 2021-12-27  

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