2022 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸化プロテオミクスにより新たに見出したアダプタータンパク質の役割の解明
Project/Area Number |
20K06548
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小西 博昭 信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (40252811)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 細胞情報伝達 / タンパク質リン酸化 / アダプタータンパク質 / ノックアウトマウス / 疾患原因遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
【 目 的 】GAREM(Grb2-Associated Regulator of Erk/MAPK)は上皮細胞増殖因子(epidermal growth factor; EGF)受容体下流で機能する因子の網羅的解析により見出した新規アダプタータンパク質である。GAREMは2種類の分子種が存在し、どちらも細胞増殖因子刺激によるErk活性化制御因子として機能することを明らかにしているが、これまで疾患との直接の因果関係は不明であった。エクソーム解析により特発性低身長症の原因として見出された遺伝子群の中にGAREM1が含まれ、その変異はアミノ酸置換を伴い、291番目のリジン(K)残基が、アルギニン(R)に変化するものであった(GAREM1(K291R)。本年度はその変異タンパク質を人工的に発現し、野生型との性質を比較することで、GAREM1の機能と特発性低身長症との関連を解明する目的で行った。 【 結果・考察】GAREM1(K291R)は野生型に比較して細胞内の局在に大きな変化は見られないが、EGF刺激後の安定性及びErkの活性化能が低いことがわかった。GAREM1 KO細胞は増殖が遅くなり、GAREM1 KOマウスは野生型よりで小型になることから、GAREM1(K291R)はドミナントネガティブ変異体として働き、GAREM1の機能の低下が生体内での低身長に起因する可能性がある。K291はこれまで着目してきたGAREMの機能領域部分ではなく、GAREMがN末のCABITドメインとC末のSAMドメインが分子内結合する場合の“ヒンジ”領域に位置し、その部分のアミノ酸組成や長さがGAREMの機能に重要であることが示唆された。 【 今後の予定】GAREM分子種、CLPABP及びWDR54の生理機能の解明とヒト疾患との関連を明らかにする。
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[Journal Article] GAREM1 is involved in controlling body mass in mice and humans2022
Author(s)
Nishino, T., Abe, T., Kaneko, M., Yokohira, M., Yamakawa, K., Imaida, K., and Konishi, H.
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Journal Title
Biochem Biophys Res Commun
Volume: 628
Pages: 91-97
DOI
Peer Reviewed / Open Access