2020 Fiscal Year Research-status Report
選択的オートファジー基質p62/SQSTM1液滴の分子病態の解析
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20K06549
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
蔭山 俊 順天堂大学, 医学部, 助教 (30624225)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オートファジー / 液-液相分離 / 液滴 / p62 / LC3/GABARAP / Keap1-Nrf2経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
液滴は環境変化に応じてタンパク質やRNA分子が濃縮し、効率的な生化学反応や不要分子を隔離する場として液-液相分離により形成される構造体である。本研究課題では、最も代表的なオートファジー選択的分解基質であり、相分離を引き起こす多価性タンパク質p62に焦点を当て、p62液滴の生理作用とその異常による個体の機能低下のメカニズムを明らかにすることを目的とした。 p62液滴分解過程の微細構造を明らかにするため、電子線トモグラフィー観察を行った。その結果、飢餓誘導性のオートファゴソームと異なり膜が複雑に入り組んだ構造が観察され、そのうち約半分のオートファゴソームがp62液滴を囲い込んでいた。選択的オートファジーにおける隔離膜形成の向きを規定する分子メカニズムを調べたところ、in vitroの実験からATG8ファミリーと分解基質であるp62との相互作用が隔離膜伸長の向きを規定していることが示唆された。実際、LC3ないしはGABARAPファミリーと相互作用し選択的オートファジーを阻害する分子であるHyD-LIRプローブを発現した細胞では隔離膜がp62液滴を囲い込む頻度は減少し、p62の分解が抑制された。最後に、HyD-LIRを肝臓特異的に発現するマウスを用いて生体内におけるp62顆粒選択的オートファジーの意義について検討した。その結果、Nrf2活性化による代謝再編成(同化)とオートファジーによる異化の同時不全が肝障害を引き起こすことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたp62液滴分解の微細構造の観察ならびにp62液滴の生理的意義を個体レベルで明らかにし、以上の成果を学術誌に発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
p62は多数の疾患関連点変異が存在することが報告されているが、p62変異タンパク質と液滴形成、Nrf2活性化、あるいはオートファジー分解との関連はほとんど不明である。そこで、今年度は疾患関連点変異がp62の液滴形成、Nrf2活性化、およびオートファジー分解に与える影響を検証する。これら変異を発現する細胞を作製し、定量的に分解効率を調べる。またGFPを融合した変異体を作製し、液滴形成の有無を確認する。液滴の形成が確認された変異体ではFRAPアッセイを行い、液滴の性質の変化も合わせて調べる。
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Research Products
(5 results)