2021 Fiscal Year Research-status Report
選択的オートファジー基質p62/SQSTM1液滴の分子病態の解析
Project/Area Number |
20K06549
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
蔭山 俊 順天堂大学, 医学部, 助教 (30624225)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オートファジー / 液-液相分離 / 液滴 / p62/SQSTM1 / LC3/GABARAP / Keap1-Nrf2経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
液滴は環境変化に応じてタンパク質やRNA分子が濃縮し、効率的な生化学反応や不要分子を隔離する場として液-液相分離により形成される構造体である。本研究課題では、最も代表的なオートファジー選択的分解基質であり、相分離を引き起こす多価性タンパク質p62に焦点を当て、p62液滴の生理作用とその異常による個体の機能低下のメカニズムを明らかにすることを目的とした。 本年度は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭型認知症(FTD)、骨ページェット病(PDB)などの疾患の原因遺伝子の一つとして知られるp62の疾患関連点変異が、オートファジーやストレス応答の障害、およびp62液滴の動態に与える影響を調べた。p62タンパク質の主要な機能であるオートファジーならびにNRF2活性化の機能発現に関連する領域であるLIRおよびKIR に着目し、この領域に位置する7個の疾患関連変異に着目し解析した。p62の疾患関連変異の一部はKEAP1、またはLC3との相互作用を欠失するためNRF2活性化能の低下やp62の分解遅延を示していた。しかし、p62が関与するKEAP1-NRF2経路、ないしはオートファジーの障害は一部の変異に限定されたものであり、疾患関連変異の共通要素ではなかった。一方、p62変異体は液滴を形成する能力はあるが、液滴内部の流動性低下が全ての変異体で認められた。 以上の結果は、p62変異による病態発症の主因は、少なくともオートファジーや抗酸化ストレス応答の障害によるものではなく、むしろ他のALS/FTD疾患関連タンパク質と同様に、p62液滴の質的変化に起因することを示している。長期にわたるp62液滴の性質変化は、p62液滴の機能障害と凝集体化を引き起こし細胞毒性に至ると予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題にて計画していたp62の疾患関連変異の分子病態の一端を明らかにし、前述の成果を学術誌に発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
p62タンパク質の機能異常は様々な病態の発症に至ることから、p62機能発現に必須なp62液滴形成はリン酸化などの翻訳後修飾により厳密に制御されている。今後は、p62のリン酸化制御ならびにp62リン酸化が液滴形成に及ぼす影響を詳細に解析し、p62タンパク質の機能制御機構の全貌に迫りたい。
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Research Products
(2 results)