2021 Fiscal Year Research-status Report
抗転移細胞で特異的に発現するタンパク質の分子機序解明
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20K06554
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
富田 毅 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (20302242)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | タンパク質間相互作用 / タンパク質核酸相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
ZC3Hタンパク質の発現系を構築し、マウス培養細胞(RAW264.7細胞)に遺伝子導入を行い、ZC3Hタンパク質を安定的に発現する細胞株を樹立した。この細胞を用いて、合成核酸がZC3Hタンパク質依存的に細胞内に取り込まれることを証明した。この研究成果の一部は投稿中の論文に含まれていたが、最終的に論文は大量の追加実験を行ったのちに採択された。さらに、ヒト培養細胞(HEK293T細胞)を用いてZC3Hタンパク質を過剰発現させ、細胞抽出液からZC3Hタンパク質を精製した。精製タンパク質を用いて、合成核酸との結合アッセイを行い、蛍光相関分光法(FCS)のデータからは、ZC3Hタンパク質と長鎖RNAとの配列非特異的な結合があることが想定された。一方、ZC3Hタンパク質と短鎖RNAとの電気泳動による解析(EMSA)からは、ZC3Hタンパク質が配列特異的にRNAと結合することが明らかとなった。この2つの実験から得られる結論から、ZC3Hタンパク質が核酸と結合する様式には、配列特異的なものと非特異的なものの2種類が混在することが想定される。このような事象は、例えばp53などの、他のDNA結合タンパク質にもみられるものである。タンパク質が核酸と配列特異的に結合する部位と非特異的に結合する部位は異なっていることが予想されることから、いくつかのZC3Hタンパク質の変異体を作成して、合成核酸との結合解析を行っている。また昨年度から行っているZC3Hタンパク質の結合タンパク質を同定する研究も進めており、いくつかの異なる細胞から複数の候補タンパク質を同定することができた。これらのものについては現在、検証中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予想以上に投稿論文のリバイスに時間がかかってしまった。また、昨年と同様、COVID‐19の影響により、共同研究先での実験に支障をきたすなどの事象が発生した。
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Strategy for Future Research Activity |
ZCタンパク質の核酸結合に関する、詳細な解析を行う予定である。実験結果がまとまり次第、学術論文化するつもりである。
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Causes of Carryover |
一部の物品の納入が4月以降にずれてしまったため。次年度使用額は4月に納品予定の物品購入に使用し、令和4年度請求額は当初の予定通り、消耗品費として使用する計画である。(国際情勢の変化により、4月納入予定の物品の納入がさらに遅れ、5月中旬から下旬の予定となっていることが、4月の時点で明らかとなっている。)
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Research Products
(2 results)