2021 Fiscal Year Research-status Report
細胞内グルタミンセンサーは ”特異的で弱い結合” をどのように達成しているのか
Project/Area Number |
20K06555
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
谷川 美頼 浜松医科大学, 医学部, 特任助教 (50553658)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アミノ酸 / センサー / ラパマイシン / TORC1 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内グルタミンセンサーであるPib2は、mMレベルの高濃度グルタミン存在時にTORC1と結合しTORC1の活性化を引き起こす。Pib2がグルタミン依存的にどのようにTORC1を活性化するのかを明らかにするために以下の解析を行った。 (1) TORC1-Pib2の構造解析 Pib2を大腸菌から組換えタンパク質として精製することを試みているが、Pib2は天然変性領域からなるため分解凝集をおこしやすく難航している。C末端両側にエピトープタグを付加することにより分解を受けていないPib2を高純度で精製することができたが、Pib2はC末端側に1アミノ酸が付加されるだけでTORC1活性化能を失った。したがってPib2のC末端側からの精製ではTORC1活性化能を有したPib2は精製できないことがわかった。そこで酵母にTORC1-Pib2キメラを発現させ精製した。この精製キメラTORC1はグルタミン添加により試験管内で活性化される。このキメラTORC1のグルタミンにより引き起こされる構造変化をクロスリンクMS解析により明らかにしようと試みた。その結果、グルタミンによりキメラ内で架橋されるペプチドに変化がみられた。現在この結果の再現性を確認している。 (2) Pib2の天然変性領域(IDR)欠失変異体の解析 IDRの段階的欠失変異体のTORC1活性化能をモニターした。その結果、N末端側半分のIDRと、Eモチーフとtailモチーフ間のIDRの一部はTORC1活性化能を抑制していることが明らかになった。この領域は近縁種のオルソログでも天然変性領域であることが配列より予測されるが、アミノ酸配列の相同性はみられない。このことより、Pib2のIDRはTORC1内の特定の分子との結合を通じてPib2の活性を抑制しているのではなく、IDRのゆらぎが活性を抑制している可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Pib2が天然変性タンパク質であり精製が困難であるために研究が難航している。
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Strategy for Future Research Activity |
Pib2がどのようにTORC1と結合し、TORC1がそれによりどのように構造変化し活性化するのかをPib2-TORC1キメラタンパク質のクロスリンクMS、およびクライオ電顕による構造解析により明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの影響により当該研究の補助を行うアルバイトの雇用を断念し、その費用を翌年度分とした。本年度はアルバイトを雇用する予定である。
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Research Products
(4 results)