2020 Fiscal Year Research-status Report
核内凝集体の除去機構-核内凝集体はウイルスと同一機構によって核外へと運ばれるか?
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20K06569
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
新海 陽一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (00758378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸井 基道 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (50344213)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 凝集体 / 液液相分離 / 疎水性相互作用 / 線虫C. elegans |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞は不必要なタンパク質凝集体を除去することによって正常な細胞機能を維持している。我々は、線虫C. elegansの神経細胞核内にタンパク質凝集体を蓄積させたところ、あたかも出芽するように核膜が大きく変形し、タンパク質凝集体が核外へと排出されることを見出した。我々はこれまでに凝集体に特異的に結合する分子を単離した。この分子は、ウイルスの核外輸送に関与する分子として知られている。2020年度は、この分子に着目して研究を進めた。当該分子は、複数の異なるドメインを有するため、どのドメインが凝集体認識に関与するのかをドメイン欠損から解析を行った。その結果、構造を持つドメインは凝集体の認識には関与しておらず、天然変性領域が凝集体との相互作用に重要であることが明らかになった。近年、天然変性領域は、細胞内において液液相分離を介して、膜を持たないオルガネラを形成することが着目されてきている。液液相分離のドライビングフォースとしては、チャージを持つアミノ酸を介した静電相互作用や、疎水性アミノ酸同士の疎水性相互作用が知られている。当該分子の天然変性領域は、多くの疎水性アミノ酸によって構成されているため、変異導入によって疎水性相互作用を阻害したところ、当該分子の細胞内液滴が解消されることを明らかにした。同時に、1,6-hexandiol処理によっても、当該分子の細胞内液滴が引き起こされたことから、この結果も疎水性相互作用の重要性を示唆している。さらには、変異導入によって、当該分子による凝集体認識にも異常が生じることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウイルスの核外輸送に重要な分子の働きについて、ドメインに着目した解析が研究計画通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
疎水性相互作用を介した液液相分離が、凝集体の認識やその除去においてどのような役割を果たしているのかについて、解析を進める。
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Causes of Carryover |
見込んでいた人件費の使用に関して、次年度以降に計画変更を行ったため。
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