2020 Fiscal Year Research-status Report
Interaction analysis bewteen subunits of bacterial cellulose synthase
Project/Area Number |
20K06570
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
于 健 北海道大学, 先端生命科学研究院, 特任助教 (20587860)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | バクテリアセルロース / 合成因子相互作用 / 構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
セルロースは自然界に最も豊富に存在する高分子であり,主に植物,そして藻類や一部の微生物,さらにはホヤなどの動物によっても合成される.そのうち,バクテリアが合成するバクテリアセルロース(BC)は複雑で密な網目構造を形成しており,高い純度,高い強度,高い保水性を持つという特徴がある.優れた性質を持つBCが新規材料として期待されている一方,BC合成機構の未解明のため,大量生産も困難である.本研究では,BC合成酵素構成因子の相互作用の解明,さらに,マルチ構造解析手法(X線小角散乱,電子顕微鏡法)によって立体構造解析,そして,in vivoでの酢酸菌の合成活性測定での機能解析によりBCの合成メカニズムを明らかにする.BCの生産性向上や機能性BC創製のための分子基盤情報を提供することを目的としている. 令和2年度には,既に確立した,大腸菌発現系でBC生産菌由来のTC構成因子BcsA-BcsB-BcsDという膜複合体の培養・精製などの条件を最適化し,次の実験に適用できる大量な調製ができた.また、ネガティブ染色の電顕で調製したサンプルを確認したところ,BcsA-B-D複合体のような粒子を複数見えた.これまでの研究によって、BcsA-BcsBとBcsDの相互作用解析について、市販のセルラーゼと雑蛋白質の混合体Onozuka RSや、純度の高いThCellulaseを用いて、様々な条件を検討した結果、BcsA-BcsBとBcsDの相互作用が、大腸菌で大量発現していたBcsA-BcsBによって合成されたBCによることを示唆した.しかし,Onozuka RSによるBcsBの分解や,ThCellulaseの活性条件が60℃であるなどの問題があるため,今後,BC生産菌由来のセルラーゼを用いて相互作用解析を進めていく.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りに、 1.大腸菌発現系でBC生産菌由来のTC構成因子BcsA-BcsB-BcsDという膜複合体の培養・精製などの条件を最適化し,特に、BcsBの分解を抑えることができ、次の実験に適用できる大量なサンプル調製に成功した. 2.大量調製したBcsA-BcsB-BcsDについて,ネガティブ染色の電顕で観察し、BcsA-B-D複合体のような粒子が複数見えた.しかし,全体的にタンパク質の凝集も多いため,今後,測定条件の検討が必要であり,電顕構造解析へ進めていく. 3.BcsA-BcsBとBcsDの相互作用解析について,ニッケルアフィニティー精製後のBcsA-BcsB-BcsDに市販のセルラーゼ混交体Onozuka RSを加えた解析には,様々な条件を検討した.その結果,BCによって BcsA-BcsBとBcsDの相互作用が示されていたが,BcsAとBcsBの分解を完全抑えられないため、純度の高い市販のThCellulaseを試みた.しかし,ThCellulaseの活性の最適な温度が60℃であるため,証明が不十分である.今後,BC生産菌由来のセルラーゼを使用したほうはよいと考え,それらの大量調製を行い,相互作用解析を進めていく.
|
Strategy for Future Research Activity |
予定している研究計画の通りに、 1.条件の最適化による,可溶化TC複合体、および各構成因子の大量調製の改善:令和2年度に引き続き、セルロース分解酵素の使用など培養条件の検討によってTC、およびBcsCの発現量などの改善を行う.また,界面活性剤のスクリーニングなどの最適化によって,各サンプルの可溶化の改善を行う. 2.マルチ手法でTC複合体の構造解析:令和2年度にネガティブ染色の電顕でBcsA-B-D複合体の粒子を見ることができたので、引き続き、観察ためのグリットの作製条件を検討し、複合体の単粒子構造解析を行う.また、X線小角散乱(SAXS)の解析も試みると同時に、構造情報の少ないBcsCの結晶構造解析も行い予定である.その結晶化には当研究室で開発している核形成剤を使用する予定である. 3.BcsA-BcsBとBcsDの相互作用解析:BC生産菌由来のセルラーゼCMCaxとBscel5を大腸菌発現系で大量調製し,BcsA-BcsBとBcsDの相互作用解析を進めていく予定である.
|
Causes of Carryover |
「理由」 2020年度は大腸菌発現系でTC構成因子の大量調製に重点をおき、構造解析のためのデータ測定 (遠隔測定)や試薬、実験器具類の購入については節約に努めた結果、41.8万円の使用残高が生じたが、これを2021年度の研究計画にある条件の最適化による可溶化TC複合体、および各構成因子の大量調製の改善、TC複合体の構造解析、構造に基づいた反応機構の推定と検証に使用予定である。 「使用計画」 2021年度の助成金101.8万円(2020年度41.8万円、2021年度60万円(元計画))のうち、一般試薬および結晶化用試薬類、ガラス器具類物品費として61.8万円、学会参加のための費用として10万円、その他、論文の英文校正や、論文投稿のための30万円を計上する。
|
Research Products
(1 results)