2021 Fiscal Year Research-status Report
Understanding enhancer allocation by 3D genome "domains" through analysis of two parameters in the regulation.
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20K06603
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻村 太郎 京都大学, 高等研究院, 特定講師 (90741893)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エンハンサー / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究計画に沿って、ヒトiPS細胞におけるMYC遺伝子座のゲノム編集を実施した。MYC遺伝子座の3Mb領域を片アリルで欠失している細胞株を利用する。本年度に実施したゲノム編集は、以下の通りである。 ・MYCスーパーエンハンサーの複数箇所について、合成CTCF結合配列(STITCH)を個別に導入 CRISPRを利用して、MYCスーパーエンハンサー領域と重なる約240kb領域にわたる5つのゲノム箇所に、STITCHカセット(ピューロマイシン耐性遺伝子あり)を挿入した。すべてのタイプについて正しい挿入が得られたことをPCRで確認した。表現型の解析に進むためには、耐性遺伝子を除去するために、Creの一過性発現によるloxP配列間の組み替えを導入する必要が残されている。次年度の実施項目としている。 ・網羅的なMYCスーパーエンハンサーの部分欠失導入 MYCスーパーエンハンサーの部分欠失のために、loxP配列が1つスーパーエンハンサー領域の直外側にすでに挿入されているアリルに対して、loxP配列をピューロマイシン耐性遺伝子とともにさらに導入した。上記と同様に約240kb領域にわたる4箇所をターゲットとした。これにより、Creの一過性発現によるloxP配列間の組み替えをして、それぞれの挿入についてスーパーエンハンサーの欠失を得ることができる状態となった。Creの一過性発現は次年度の実施項目としている。 また、昨年度に確立したマルチコンタクトクロマチン高次構造解析手法で、MYC遺伝子とスーパーエンハンサーとの相互作用をタイムシリーズで解析することにした。STITCH機能の薬剤コントロールシステムにより、エンハンサー相互作用オン・オフのスイッチを入れてから、24時間後までの細胞をサンプリングした。この解析も次年度の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Creの一過性発現によるloxP配列間の組み替えを実施したいところであったが、そのために必要なまとまった時間を確保できず、実施できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
上記計画に沿って、Creの一過性発現によるloxP配列間の組み替えを実施し、必要なゲノム編集を完遂する。その後、遺伝子発現とクロマチン高次構造解析を実施し、エンハンサー相互作用制御機構についての知見を得る。それとは別に、エンハンサー相互作用のオン・オフに伴うクロマチン高次構造の時間変化を解析し、別の角度からも制御機構の実態について考察する。
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Causes of Carryover |
ゲノム編集の遅れにより、表現型解析にかかる費用支出がなかったため。次年度に解析を実施する計画であり、それに利用する。
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