2020 Fiscal Year Research-status Report
相同組換えの制御メカニズムの解明と人工的コントロール方法の開発
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20K06604
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
松嵜 健一郎 近畿大学, 農学部, 助教 (10772147)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 相同組換え |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、申請者が発見したanti-recombinase FIGNL1の作用機序を構造生物学的、遺伝学的解析により明らかにすることで、詳細が分かっていない相同組換えの抑制メカニズムの解明を目指す。最終的には、得られた結果を元に組換えの人工的コントロール法の確立を試みる。1) FIGNL1の構造生物学的解析、2) FIGNL1の遺伝学的解析、3) 相同組換えの人工的コントロールの3つの方針に従って実験を進めた。 本年度は、構造生物学的解析のためのタンパク質の精製方法の確立、遺伝学的解析に用いるノックアウト細胞株の作製、人工的コントールのためのFIGNL1過剰発現細胞の作製を行なった。精製タンパク質を用いた活性測定では、相同組換えとDNA複製についての新しい実験系の立ち上げを行っており、この実験系を用いて解析することでFIGNL1の新しい役割を明らかにできると考えている。マウスについては、解析途中ではあるが産仔数に影響がある可能性が考えられた。当初予定していた計画に沿ってコンディショナルノックアウトの使用も並行して進める。FIGNL1過剰発現細胞を作製することはできたが、表現型にはあまり影響はなかった。発現量が不足している可能性もあるため、誘導型の発現システムを用いることで発現量を増やす試みを行っている。作製したFIGNL1ノックアウト細胞の表現型の解析から、FIGNL1の新しい機能につながる発見があった。基本的な方針に変更はないが、生体における相同組換え、anti-recombinaseの新しい役割を解明できる可能性があるため、予定していた計画と並行して実験を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた実験材料の準備は、概ね予定通りに進んでいる。マウスを用いた実験については若干の遅れがあったが、細胞を用いた実験の進行が予定より早く進んでおり、全体としては予定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も予定通りFIGNL1の構造生物学的解析、遺伝学的解析、マウスの表現型の解析を進めていく。さらに、今年度の実験で発見したFIGNL1の新たな機能についても解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、一部の実験が今年度中に終わらなかったことと、学会がオンライン開催であり旅費が残ってしまったため。来年度、外部委託の解析等に充てることで、本年度できなかった部分を補填する。
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