2022 Fiscal Year Annual Research Report
相同組換えの制御メカニズムの解明と人工的コントロール方法の開発
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20K06604
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
松嵜 健一郎 近畿大学, 農学部, 助教 (10772147)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 相同組換え |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、申請者の発見した新規相同組換え抑制因子FIGNL1の機能を明らかにすることを目指す。 昨年度のFIGNL1ノックアウト細胞の解析より、FIGNL1が正常な染色体分配に必要な遺伝子であることが分かった。この結果を踏まえ、本年度は、FIGNL1がどのように染色体分配に関与しているのかを明らかにしようと研究を進めた。FIGNL1ノックアウト細胞のもう一つの表現型として、RAD51タンパク質の染色体上への過剰な蓄積が観察できていたため、この過剰なRAD51が染色体分配を妨害している可能性について検討した。RAD51阻害剤であるB02をFIGNL1ノックアウト細胞に添加したところ、RAD51の蓄積が抑えられ、さらに染色体分配の以上も抑制された。これらの結果は、RAD51の持つDNA鎖交換活性が、姉妹染色体間の物理的な結合をつくってしまい、その結果、染色体分配の異常が起きている可能性を示している。DNA複製時、染色体上の繰り返し配列上で複製フォークの進行が停止することがある、その際にRAD51は複製フォークに呼び込まれ、複製フォークの保護と再開を行っている。解析の結果、FIGNL1が存在しない場合、複製フォークが再開した後もRAD51が染色体上に残存することを発見した。以上の結果から、FIGNL1はRAD51を染色体上から取り除く活性をもつanti-recombinaseの一種であり、複製フォーク再開の際にRAD51を染色体上から取り除くことで、染色体分配を保証する役割を持っていることがわかった。 また、今回の結果は、複製フォークの進行、停止、再開に合わせて、タイミングよくRAD51の局在を制御する何らかの分子メカニズムが存在することを示唆している。今後は、この制御がどのように行われているか明らかにしたい。
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Research Products
(5 results)