2021 Fiscal Year Research-status Report
シングルセル解析を用いて精子一細胞から高精度なゲノム構築を行う手法の開発
Project/Area Number |
20K06607
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉武 和敏 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (50646552)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | シングルセル / 精子 / SELDLA / 連鎖解析 / ゲノム構築 / SELDLA-G / Portable Pipeline |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では10x Genomics社のシングルセルライブラリ調整装置を用い、Illumina社の次世代シーケンサーを使って大量のシーケンスを行ったデータを解析して、精子を一細胞ずつジェノタイピングし、連鎖解析を行い、高精度のゲノムを構築することが目標である。今年度は昨年度にシーケンスで得られたデータを解析し、申請者が開発している連鎖解析ソフトウェアであるSELDLLAにさらに改良を加え、低カバレッジで欠損値の多いシングルセルのデータに対応するためデータの補完方法を強化した。本研究で得られた知見については、NAR Genom Bioinformにて詳細を発表した。(Yoshitake, et. al., NAR Genom Bioinform. 2022 Mar 31;4(2) doi: 10.1093/nargab/lqac026.) さらに、連鎖解析によってゲノムを伸長した結果の妥当性を確認し、手動で補正する場合の補助ツールとして、SELDLA-Gを開発した。SELDLA-GはWindowsやMacで動作するグラフィカルなソフトウェアであり、GPUを用いて高速に描画したり、マーカー間のフェーズ一致度を高速に計算するなどして、操作性を向上させている。また、連鎖解析とは別の染色体構築手法であるHi-Cを用いたゲノム構築の際にもSELDLA-Gを利用することが可能であり、SALSAというHi-C解析ツールの出力を入力としてコンタクトマップを編集することが出来る。開発したソフトウェアはGitHubにてオープンソースコードとして公開している。https://github.com/c2997108/SELDLA-G
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた10x GenomicsのCNVキットを用いてシングルセルで精子をジェノタイピングし、連鎖解析によるゲノム構築を行うという目標は達成し、その成果も論文として発表することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画していた内容は達成したが、課題も見えてきた。一つは魚類では精子ができる途中で生じる交叉反応が、セントロメア周辺では強く抑制されており、結果として構築されるゲノムの1/3程度の領域はコンティグの向きを決定することが出来なかった。これに対する解決策については、精子の数を増やすか、伸長前のコンティグについてさらにロングリードシーケンスを行い、より長く伸ばしておくことが考えられる。 もう一つの問題点は、発売から1年程度で10x GenomicsのCNVキットが販売中止になってしまったことである。精子シングルセルから連鎖解析によりゲノム構築が可能であることは本研究より示されたので、10x Genomics CNVキットの代わりにどのような手法がありうるのかを検討したい。
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Causes of Carryover |
想定よりもシーケンスを行わなかったため差額が生じた。追加のシーケンスを行うことに使用する計画である。
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Research Products
(1 results)