2020 Fiscal Year Annual Research Report
Tracking technology for the dynamic morphology of stress granule components
Project/Area Number |
20K06614
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
新木 和孝 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (60514255)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ストレス顆粒 / 近接依存性標識法 / 質量分析測定 / 液-液相分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内では、液-液相分離(LLPS)によって膜のないオルガネラ様の区画がいくつも形成されていることが近年明らかにされている。LLPSに関わる分子群としてタンパク質やRNAなどの天然変性領域を多く含むものからなると言われている。 例えばサイトゾル画分に生じるストレス顆粒(SGs:StressGranules)は、筋委縮性軸索硬化症(ALS)や前頭側頭性認知症(FTD)などの神経変性疾患において、SGsの封入体が蓄積し、疾患発症に結びついているとされている。また、SGsは多彩なストレス応答シグナルを制御する多機能構造体であることが分かってきており、凝集体の蓄積だけでなく、その機能破綻自体が疾患に結びつくと示唆されている。 本研究ではSGsをLLPSの代表例として取り上げ、SGsを構成する要素を体系的に検出し、それらの動的形態を検出する系の確立を目指すこととした。ここでは、質量分析測定技術の高度化を進め、近接依存性標識法(ProximityLabeling:PL法)を活用し、最も効率的に近接因子を標識可能なプローブを探索し、最適プローブをもとに標的タンパク質近接に存在する分子を同定した。また、ストレス時特有の顆粒形成に関与する因子を同定するために、熱ショックストレス負荷時の近傍因子の同定も試みた。さらに、液液相状態の可視化のためさらに、一分子測定系を活用することで、LLPS関連因子の動的挙動を追跡し、疾患発症につながるメカニズム解明につなげうる実験系を構築することに成功した。 ストレス状況下における近接依存性同定にも成功しており、これらの因子が介在するLLPSを起源とする疾患発症メカニズムの追跡に向けた系を本研究期間で構築することができた。
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