2020 Fiscal Year Research-status Report
核ラミナが核膜孔複合体の構築を制御する分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
20K06617
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
志見 剛 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 特任准教授 (60817568)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 核ラミナ / ラミン / 核膜孔複合体 / ヌクレオポリン |
Outline of Annual Research Achievements |
核膜孔複合体を構成するヌクレオポリンの一つであるELYSがラミンファイバーと核膜孔複合体の相互作用に必要であることが判明している。そこで、核膜孔複合体と相互作用するラミンの領域(NAD)を同定するために、レーザー照射によって破損した野生型MEFの核膜に集積するラミンを観察した。mEmeraldと融合したLA、LC、LB1またはLB2を発現させた野生型MEFでは、mEmerald-LA、LCだけが核膜の破損部に集積した。次に、LAとLCの変異体を用いて同様の実験を行ったところ、テール領域内に位置する核移行シグナルNLS、Immunoglobulin-like(Ig-fold)ドメイン、ファルネシル化を受けるLAのCAAXボックスが核膜の破損部への集積に関与することが分かった。以上の結果から、これらのドメインが核膜の破損部で核膜孔複合体を再構築するために必要なNADを含む可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レーザー照射によって破損した野生型MEFの核膜に集積するラミンを観察するために、mEmeraldと融合したLA、LC、LB1、LB2のほかに、核膜の破損マーカーであるmCherryと融合したNLS(NLS-sfCherry)とHaloと融合したDNAセンサーであるcGAS(Halo-cGAS)をそれぞれコードするDNAプラスミドを作製した。次に、テール領域内に位置する核移行シグナルNLS、Immunoglobulin-like(Ig-fold)ドメイン、ファルネシル化を受けるLAのCAAXボックスを欠失したLAとLCとmEmeraldの融合タンパク質をコードしたDNAプラスミドを作製した。また、NLS-sfCherryを恒常的に発現した野生型、LA/Cノックアウト、LB1ノックアウト、LB2ノックアウトMEFの細胞株を樹立した。次に、これらの実験材料を用いて、レーザー照射によって破損した核膜に集積するラミンを観察した。
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Strategy for Future Research Activity |
核膜の破損部にA型ラミンが集積するために必要なLA/CのNLSとIg-foldドメイン、LAのCAAXボックスの付近には多数のラミノパチー変異が見つかっていることから、A型ラミン遺伝子ノックアウトMEFにmEmeraldと融合させた41個のラミノパチー変異体と核膜の破損マーカーであるsfCherryと融合させたNLS(sfCherry-NLS)を同時に発現させて共焦点レーザー顕微鏡を用いた生細胞観察を行う予定である。さらに、これらのドメインは、NADを含むもしくはNADと協働して核膜の破損部で核膜孔複合体を再構築する機能がある可能性を調べるために、生化学実験によってELYSの結合するNADを同定し、A型ラミン遺伝子ノックアウトMEFにmEmeraldと融合したNADを欠失した変異体をsfCherry-NLSと同時に発現させて共焦点レーザー顕微鏡を用いた生細胞観察を行う予定である。さらに、これらの細胞で核膜孔複合体を再構築する可能性を免疫染色によって確認する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、前年度(2020年度)に行ったDNAプラスミドの作製と細胞株の樹立を継続するために必要な試薬等の費用として計上する。
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Research Products
(6 results)