2022 Fiscal Year Annual Research Report
核ラミナが核膜孔複合体の構築を制御する分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
20K06617
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
志見 剛 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 特任准教授 (60817568)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 核ラミナ / ラミン / 核膜孔複合体 / ヌクレオポリン / BAF / cGAS |
Outline of Annual Research Achievements |
動物細胞の核では、核膜の内側を裏打ちする核ラミナは核構造を維持し、核膜を貫通する核膜孔複合体は核-細胞質間における高分子の輸送を調節する。核ラミナと核膜孔複合体の構造を保つことは、ゲノムDNAの機能を制御するために必須である。核ラミナの主要な構造タンパク質であるラミンは、タイプV中間径フィラメントタンパク質の一種であり、A型ラミン(ラミンA, ラミンC)とB型ラミン(ラミンB1, ラミンB2)によって構成される。ラミンの遺伝子の変異は、遺伝的疾患であるラミノパチーを発症する。 我々は、クライオ電子顕微鏡トモグラフィー法(cryo-ET)とコンピュータービジョンと組み合わせた三次元構造化照明顕微鏡法(3D-SIM)を行い、胚線維芽細胞(MEF)において四量体を形成したラミン分子が繋がって直径約3.5ナノメートルのラミンフィラメントを形成すること、これらのラミンフィラメントが不均一に分布することによって厚み約14ナノメートルの核ラミナの網目構造を取ることを明らかにした。一方で、核膜孔複合体は直径約120ナノメートルの筒状構造をとり、約30種類のヌクレオポリンから構成される。核膜孔複合体が核ラミナの網目構造の穴に1つずつ挿入されている。我々は、ヌクレオポリンの一つである ELYSと結合して核膜孔複合体の分布を制御することを見出した。 近年、一部のラミノパチーにおいて核膜が破損することが報告されたが、破損した核膜を修復する分子メカニズムについては不明な点が多い。本研究課題では、核膜の破損部において核ラミナと核膜孔複合体が再構築する分子メカニズムを解明するために、コンピュータービジョンと組み合わせた3D-SIMに関してノースウエスタン大学(米国)のRobert D. Goldman博士と、cryo-ETに関してチューリッヒ大学(スイス)のOhad Medalia博士と共同研究を行う。
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Research Products
(8 results)