2021 Fiscal Year Research-status Report
Cellular responses to chronic heat stress in yeast
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20K06620
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
木村 洋子 静岡大学, 農学部, 教授 (80291152)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 熱ストレス / 酵母 / 液胞 / 核膜孔複合体 / Hfl1 / 膜陥入 / Atg8 |
Outline of Annual Research Achievements |
持続的熱ストレスに対して出芽酵母がどのように変化して熱耐性状態を獲得するかを、液胞と核膜の形態的変化を手掛かりにして明らかにすることが本研究の目的である。 液胞においては、これまでに熱ストレス後に液胞膜の陥入形成が見られ、陥入形成が熱耐性の獲得と関係していることを明らかにした。我々は膜陥入の形成や抑制に働く因子を同定しており、液胞膜陥入を抑える因子としてAtg8を発見している。昨年度Atg8の液胞膜上の結合因子Hfl1の変異株でも熱ストレス時に液胞の陥入が亢進されることを明らかにした。 そこで今年度はHfl1の発現と局在の解析を行った。その結果、Hfl1が熱ストレス時に陥入の根元に集積すること、またHfl1はatg8変異株では熱ストレスにより発現量が減少することを明らかにした。過度の陥入形成は細胞に悪影響を与えるので、Hfl1とAtg8のような細胞内因子によって熱ストレス時に過度の陥入が起きないように抑えている可能性が示唆される。さらに、熱ストレス時の液胞膜は相分離を起こしている可能性を検討し、液胞膜の形態及び膜の性質の解析において相分離していることを支持する結果を得た。 また、、熱ストレス時の核膜の形態的変化については、核膜間に電子密度の高い物質の蓄積が生じるため核膜孔複合体(NPC)の因子の動態を観察している。NPCは、多くの因子によって構成されているが、今年度は、構成因子のNPC内の位置によって熱ストレス時の挙動が異なる可能性を示す結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
出芽酵母中でのHfl1の発現量は大変低いためGFPとの融合タンパク質をコードする融合遺伝子をゲノムに導入しても発現が検出できない。3xGFPとの融合タンパク質の作成も試みたが、プラスミド上で発現させているため発現のばらつきが大きく、正確な局在を見ることができていなかった。今年度、蛍光強度が大きいNeon Greenとの融合タンパク質に変更し、さらに感度の良いカメラを用いることによって、局在を初めて明らかにすることができた。その結果、Hfl1が液胞膜陥入を深く関係する興味深い結果を得ることができたため、研究が進んだ。また、NPCの解析においても、GFPからNeon Greenとの融合タンパク質に変更したところ、結果がはっきり得られるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
液胞陥入形成の分子的メカニズムの解明のために、さらなる関与因子を同定する遺伝学的解析を行っている。現在、恒常的に液胞膜陥入が形成される変異株と合成致死を起こす変異の探索をおこなっており、すでに1つの変異株が得られている。この変異をゲノムシークエンスで明らかにすると同時に、さらなる変異を同定し、液胞膜陥入の分子機構を解明し、熱ストレス時の液胞膜陥入形成との関連を調べる。
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Causes of Carryover |
実験の系を小さくする工夫をして消耗品である試薬の購入を少なく抑えることができた。その分次年度はサンプルの数を多くして、実験を行い、また実験補助員の方の雇用を増やす予定である。
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Research Products
(3 results)