2021 Fiscal Year Research-status Report
ペルオキシソーム動態の視床下部機能維持における役割と作用機構の解明
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20K06624
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
杉浦 歩 順天堂大学, 大学院医学研究科, 講師 (70784974)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ペルオキシソーム / 神経幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ペルオキシソーム動態の視床下部機能維持における役割と作用機構の解明を目指し、主に視床下部由来初代培養細胞を用いた実験を実施し、以下のような結果を得た。 1.パルミチン酸は高脂肪食摂餌下のマウス第三脳室での濃度上昇が報告されており、視床下部では炎症反応や、小胞体ストレス応答、神経細胞死など様々なストレスが誘導される。前年度までの結果より、パルミチン酸処理された視床下部由来初代培養神経幹細胞において、ペルオキシソームの形態や局在変化が観察された。当該年度はこの現象の分子機構の解明を目指し、実験を行った。まずは当条件でみられたペルオキシソームのストレス応答の上流シグナルの同定や経時的変化を確認するために、パルミチン酸濃度や処理時間の詳細な条件検討を行った。また、ペルオキシソームのストレス応答や形態制御に関わることが既に報告されているタンパク質についてウェスタンブロッティングなどによる解析を行った。 2.近年、細胞内代謝や代謝産物の幹細胞性維持や細胞分化における役割が徐々に明らかになってきている。ペルオキシソームは脂肪酸の酸化や過酸化水素の除去に重要な細胞内代謝の中心的オルガネラの一つであるが、それらの機能における役割はほとんどわかっていない。この課題を解決するために、視床下部由来の神経幹細胞をペルオキシソーム機能阻害剤で処理し、その増殖能や神経細胞への分化能への影響を調べた。また、同条件下におけるペルオキシソームやミトコンドリアの形態や局在を免疫蛍光染色法により観察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の新型コロナウイルスによる研究開始の遅延に加え、当該年度も国際的な製品の在庫切れや輸送遅延により計画通りに実験を実施することがやや難しかった。また、培養細胞の生育不良も重なり、当初の計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
ペルオキシソームは細胞内代謝の中心的オルガネラの一つだが、個体レベルでの代謝調節中枢である視床下部での機能はほとんど理解が進んでいない。今年度までの視床下部由来初代培養を用いた実験で、パルミチン酸処理下におけるペルオキシソームの変化やペルオキシソーム機能阻害下における神経幹細胞の増殖・神経細胞への分化に関する予備的結果を得た。これらの結果をもとに、次年度は1)ストレス応答、2)幹細胞性維持・神経細胞への分化能におけるペルオキシソームの役割に関する詳細な解析を行い、ペルオキシソーム動態の視床下部機能維持における役割と作用機構の解明を目指す。 1) ペルオキシソームのストレス下における形態変化に関しては、いくつかの因子が制御因子として報告されている。今年度に引き続き、これらの因子をウェスタンブロッティング等で解析し、視床下部神経幹細胞での役割を検討し、候補因子を選定する。次に、得られた候補因子に対して、RNA干渉などによる遺伝子発現抑制実験を行い、ペルオキシソーム動態に対する影響を解析し、制御因子の同定を試みる。また、同条件下における細胞生存率や細胞増殖、分化能も解析し、パルミチン酸誘導性ストレスにおけるペルオキシソーム動態変化の生理的意義の解明も目指す。 2) 今年度までにペルオキシソームの酵素活性阻害剤を用いて、視床下部神経幹細胞の増殖能や細胞分化におけるペルオキシソームの役割を検討した。次年度は他の複数の阻害剤も検討し、ペルオキシソーム機能阻害と細胞機能の特異性を確認する。ペルオキシソームはPeroxin(Pex)と呼ばれる一連の遺伝子群でその構造が維持されている。その中でもPex3, 16, 19は膜の形成・維持に必須で、これらの遺伝子欠損細胞はペルオキシソームを消失する。これらのPexをRNA干渉などにより遺伝子発現抑制を行い、幹細胞の増殖能や細胞分化におけるペルオキシソームの役割を検証する。
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Causes of Carryover |
国際的な輸送の遅延により、一部製品の納品が遅れたため次年度使用が生じた。当該製品は本年度中に納品予定である。
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