2021 Fiscal Year Annual Research Report
Spatial regulation of heterotrimeric G proteins in chemotactic sensing
Project/Area Number |
20K06631
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
上村 陽一郎 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 上級研究員 (20321599)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 三量体Gタンパク質シャトリング / 走化性 / 細胞性粘菌 / Gip1 / 三量体Gタンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
Gタンパク質共役型受容体(GPCR)シグナリングは基礎生物学や医科学などライフサイエンにおける重要な研究分野である。GPCR受容体は三量体Gタンパク質のグアニンヌクレオチド交換反応によって情報を伝達する。ヒトの白血球や細胞性粘菌のような走化性細胞は化学物質の濃度勾配認識にGPCRシグナリングを利用する。走化性細胞はわずか1%程度の濃度勾配を10万倍もの濃度域に渡り検出する能力を持つ。申請者は「Gタンパク質シャトリング」と命名した三量体Gタンパク質の細胞内局在制御が勾配認識に必要であることを発見した。この制御の中心はGタンパク質結合因子であるGip1である。Gip1はGタンパク質の脂質修飾を介して細胞質で結合し、走化性物質刺激に応じて解離する。このようなGip1依存的Gタンパク質シャトリング機構がどのように勾配情報を反映した活性化Gタンパク質の膜局在に繋がるかは不明である。そこで、本研究では(1)Gip1とGタンパク質の結合、解離の分子機構、(2)Gタンパク質の空間制御機構の全体像の解明を目的とする。 細胞性粘菌を用いた研究から、Gタンパク質の結合因子としてGip1以外にRic8、ElmoE、GflBが知られている。本研究では、これらのGタンパク質結合因子がどのように走化性物質の勾配情報を処理しているかを調べる目的で遺伝学的相互作用を検出する方法を確立した。これにより見出した遺伝学的相互作用について栄養飢餓に対する発生プログラム、走化性を中心に解析を進めた。その結果、Gip1を中心とするGタンパク質の空間制御が走化性応答の広い濃度域で重要であるという結果を得た。この機構は一過的な走化性物質の刺激応答には必須でないが、濃度勾配認識において重要な機能を持つと考えられた。
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Research Products
(5 results)