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2020 Fiscal Year Research-status Report

Evaluation of molecular bases for signal transduction by "signaling endosomes"

Research Project

Project/Area Number 20K06633
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

堤 良平  東北大学, 薬学研究科, 講師 (50435872)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywordsエンドサイトーシス / 増殖因子 / 細胞内情報伝達 / 細胞等代謝
Outline of Annual Research Achievements

増殖因子により惹起される細胞内情報伝達の制御機構解明は長年にわたり細胞生物学上の重要課題であるものの、細胞表面受容体が実際にどのように細胞外刺激を細胞内に伝播するのかという本質的な謎は十分には解明されていない。 近年、教科書的な 「細胞膜から細胞内への情報伝播」 という従来モデルでは情報伝達を充分に説明できないことが明らかになりつつあり、新たに受容体エンドサイトーシス小胞の寄与を加味する 「シグナリングエンドソーム (SE)」 仮説が提唱されている。 本研究では、SEの存在をさらなる検証によって立証し、加えて応募者が独自に開発している特定の細胞内小胞の高効率特異的単離法等によってSEを介した情報伝達の機序の解明を目指すとともに、その将来的な応用を模索している。
本年度は独自に開発した磁性ナノ粒子を用いたSE画分の生成法を最適化し、質量分析による網羅的探索により画分に含まれるタンパク質群を同定した。その結果、SEには予想外に細胞等代謝系を制御する輸送体・酵素群が含有されていることが示唆された。生化学的手法や共焦点レーザー顕微鏡による細胞内局在の観察、メタボロミクス解析などによる検討の結果、線維芽細胞における増殖因子依存的な一過性のブドウ糖代謝の増強に、増殖因子受容体を含むエンドサイトーシス小胞の形成が寄与していることを明らかにした。本結果は長年にわたる細胞等代謝制御における疑問に答えるものであり、現在発表のための論文を準備中である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

血小板由来増殖因子 (PDGF) 受容体等の受容体型チロシンキナーゼは、リガンドとの結合により活性化・自己リン酸化し、多数の情報伝達タンパク質と複合体を形成する。 従来の教科書的なモデルでは、細胞膜細胞質側での受容体による情報伝達タンパク質の集積・活性化が各種細胞応答を誘導すると説明される。 一方で、リガンド刺激を受けた細胞表面受容体は、速やかにエンドサイトーシスによって細胞内に取込まれる。 歴史的にこの受容体の細胞質への取込みと最終的な分解は細胞表面の受容体数を低減するネガティブフィードバック機構であると考えられているが、一方でこのような小胞が情報伝達の足場として機能するとのシグナリングエンドソーム(SE)仮説が提唱されている。
本研究ではこのような受容体エンドサイトーシス小胞の機能を解明するため独自の単離法の開発を目標の一つとしている。本年度は磁性ナノ粒子を用いたSE小胞の単離を試み、質量分析によるタンパク質網羅同定によりSE構成分子として多数の細胞等代謝関連酵素が検出した。イムノブロット、免疫染色と共焦点レーザー顕微鏡による細胞内局在の検討、さらに分子間距離を測定可能なPLA法を用いて、活性化しエンドサイトーシスを受けた増殖因子受容体がこれら代謝関連酵素と増殖因子刺激依存的に共局在することを示した。また、マウス線維芽細胞における増殖因子依存的な糖代謝の亢進に増殖因子受容体のエンドサイトーシスが寄与することを示すとともに、当該小胞が等代謝の足場として機能していることを試験管内酵素活性測定により示した。以上から、細胞等代謝制御における増殖因子受容体のエンドサイトーシス小胞の役割を新たに見出し、現在発表に向けて投稿論文を準備している。

Strategy for Future Research Activity

上記の細胞糖代謝制御におけるエンドサイトーシス小胞の役割を論文として発表する。
また、糖代謝のみではなく、小胞構成蛋白質を多数同定したことから、当初の予定通り細胞情報伝達における同小胞の役割を、構成蛋白質の網羅的な経時的解析と、阻害剤、機能欠失や異所性発現による個々のタンパク質の機能解析により進めていく。

Causes of Carryover

COVID-19流行により研究遂行が制限された期間が生じたこと、学会のオンライン化などにより参加旅費として計上した額との差が生じたことが原因である。
差額に関しては、研究遂行においてより厳密さを追求するため抗体等の購入にあてる。

  • Research Products

    (2 results)

All 2020

All Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Presentation] 増殖因子による細胞糖代謝制御の 新たな分子基盤2020

    • Author(s)
      堤良平
    • Organizer
      第93回 日本生化学会大会
  • [Presentation] Spatio-temporal regulation of protein tyrosine phosphatases by reactive oxygen Species (ROS) and its pharmaceutical application2020

    • Author(s)
      堤良平
    • Organizer
      第43回日本分子生物学会年会
    • Invited

URL: 

Published: 2021-12-27  

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