2021 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation of molecular bases for signal transduction by "signaling endosomes"
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20K06633
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
堤 良平 東北大学, 薬学研究科, 講師 (50435872)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 増殖因子 / 受容体エンドサイトーシス / 細胞内情報伝達 / 細胞内小胞 / 解糖系 |
Outline of Annual Research Achievements |
血小板由来増殖因子 (PDGF) 等の増殖因子等による細胞への外部刺激は、細胞膜表面に存在する受容体を介して細胞質へと情報を伝達する。 一方で、活性化した受容体はエンドサイトーシスによって細胞内小胞に取込まれることが知られている。 近年、増殖因子等による細胞内情報伝達の惹起は細胞膜からではなく、この受容体エンドサイトーシスによって生成された細胞内小胞を起点として惹起されているという「情報伝達小胞」仮説が唱えられ、エンドサイトーシス小胞の生物学的役割の重要性が注目されている。 しかしながら、このような小胞の機能への理解は限られており、また、小胞を構成する分子等、同小胞の実態は解明されていない。 本研究では、直径約10 nmという微小な磁気ナノ粒子を用いた受容体エンドサイトーシス小胞の特異的な単離法を考案し、同小胞に集積するタンパク質群を質量分析により網羅的に同定することにより、この受容体エンドサイトーシス小胞の実態を解明することを目指している。 今年度までに、PDGF刺激によりマウス線維芽細胞に生成する受容体エンドサイトーシス小胞には、様々な情報伝達・小胞輸送タンパク質に加えて、ブドウ糖トランスポーター1 (GLUT1/SLC2A1) および古典的解糖経路の構成酵素が複数集積していることを見出し、① 受容体エンドサイトーシス小胞の生成が増殖因子依存的な細胞のブドウ糖代謝に必須であること、② エンドサイトーシス小胞のミトコンドリア近傍への輸送と、糖代謝関連酵素群の集積が増殖因子依存的な細胞等代謝亢進に寄与していることを明らかにした。 さらに、③ メタボロミクス解析の結果から、ブドウ糖が低濃度に限られた環境下において、細胞増殖に必須である解糖系ならびにクエン酸サイクルの維持に、受容体エンドサイトーシス小胞の生成が重要な役割を果たしていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度までに、受容体エンドサイトーシス小胞が細胞内情報伝達のみならず、細胞のブドウ糖代謝に重要な役割を果たすことを明らかにしており、現在、この知見の学術雑誌への投稿準備中である。 現在、上記結果の学術雑誌への投稿を準備中である。 COVID-19感染拡大による影響で実験等の実施が遅延したが、令和4年度で予定された目標に到達可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに得られた結果を学術雑誌にて発表するとともに、当初の構想であった、受容体エンドサイトーシス小胞の細胞内情報伝達の役割の解明を遂行する。既に受容体エンドサイトーシス小胞の質量分析による解析は完了しており、同小胞に集積する情報伝達関連分子を網羅的に同定していることから、遂行は十分可能であると考える。
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Causes of Carryover |
代表者は日本医療研究開発機構に出向中であり、兼業により研究を遂行する予定であったが、令和3年度におけるCOVID-19感染者拡大に伴い研究が遅延した。 令和4年度において、①令和3年度までの研究結果の学術雑誌への投稿、②質量分析による受容体エンドサイトーシス小胞の分析結果からの、同小胞の細胞内情報伝達における役割の解明を十分遂行できると考える。
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