2021 Fiscal Year Research-status Report
CRISPRゲノムワイドスクリーニングによるマクロピノサイトーシス制御因子の同定
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20K06636
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂巻 純一 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任助教 (10825938)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マクロピノサイトーシス / CRISPR-Cas9システム |
Outline of Annual Research Achievements |
マクロピノサイトーシスは細胞膜のラメリポディアの伸長と退縮により、細胞外液とそこに含まれる高分子を細胞内に取り込み、リソソームで分解する機構である。この機構はがん細胞で活性化しており、その生存と増殖のためのエネルギー供給源となっていることが示唆されている。しかし、この経路の分子制御機構は未だ不明な点が多く、特異的な阻害法が確立していない。本研究では、マクロピノサイトーシス制御遺伝子を網羅的に同定するために、CRISPR-Cas9システムを用いたゲノムワイドスクリーニングを行っている。スクリーニングで使用する活性型変異体KRas G12Vを有し、Cas9を発現するHEK293T細胞を作製し、19,050遺伝子を標的としたsgRNAライブラリーを導入した。作製した細胞を用いて、2種類の確立したマクロピノサイトーシスプローブであるDQ-BSAと70 kDa デキストランの細胞への取り込みをフローサイトメトリーにより検出し、実験条件の最適化を行なった。現在、スクリーニングに着手し、作製した細胞にマクロピノサイトーシスプローブを加え、プローブの蛍光強度が低い細胞集団の分取を行なっている。下位約5%の細胞集団をクロピノサイトーシス不全細胞集団として分取する。分取した細胞を増幅させ、同様の操作を繰り返し、マクロピノサイトーシス不全細胞の濃縮を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在まで期待されていたマクロピノサイトーシス不全細胞集団が得られていなかったため、これまで使用していたDQ-BSAに加え、70 kDa デキストランを用いたスクリーニングを行うことにした。その実験条件の最適化を行なった。これら2種類の確立したマクロピノサイトーシスプローブを用いて、プローブの取り込みが抑制されているマクロピノサイトーシス不全細胞集団を分取する。マクロピノサイトーシス不全細胞の取り逃がしをなくすため、分取する細胞集団を5%まで増やし、同様の操作を繰り返すことで細胞集団を濃縮する。
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Strategy for Future Research Activity |
2種類のマクロピノサイトーシスプローブDQ-BSAと70 kDa デキストランを用いてスクリーニングを行い、マクロピノサイトーシス不全細胞集団を得る。この細胞集団を次世代シークエンスで分析し、どの遺伝子に対するsgRNAが多く見られるか解析することにより、マクロピノサイトーシスに必須な遺伝子を同定する。2種類の異なるマクロピノサイトーシスプローブで得られた遺伝子を比較する。さらに、偽陽性の可能性を排除するため、再現実験を行う。同定した因子の細胞内局在や動態を調べる。
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Causes of Carryover |
実験で使用する試薬の購入が予定より少なくなったため差額が生じた。来年度にも必要となる試薬であるため、来年度に購入し、その差額分を使用する。
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Research Products
(2 results)