2020 Fiscal Year Research-status Report
ドーパミン作動性ニューロンのリソソームを介した新規細胞外分泌機構の解明
Project/Area Number |
20K06646
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
鳥居 知宏 同志社大学, 脳科学研究科, 准教授 (00515603)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ドーパミン作動性ニューロン / Arf6 / 小胞輸送 / リソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞膜トラフィッキングや小胞輸送を制御するArf6の活性化因子(ArfGEF)であるcytohesin-2と相互作用するCCDC120は、in vitroにおいてArf6を活性化に関与することが知られているが、その機能および局在は未だ明らかにされていない。 本研究では、まず蛍光標識したCCDC120(RFP-CCDC120)および内在性CCDC120が細胞内のどこに局在するか検討したが、RFP-CCDC120は小胞体、ゴルジ体、ミトコンドリアなどへの局在を示さなかった。また、市販のCCDC120抗体でCOS7細胞や初代培養海馬神経細胞を染色しても遺伝子導入した外因性のCCDC120様な染色像を得ることができなかった。これらの問題を改善するためにCRSPR/Cas9ゲノム編集技術で内在性のCCDC120をHA標識して検出し、その局在を確認している最中である。一方、CCDC120のその局在を制御する領域を同定するために種々の変異体を作製し、COS7細胞に遺伝子導入してその局在を観察し評価した。その結果、現在までのところ全長の約85%欠損させたN末端領域にその局在シグナルを有するドメインが存在することまでの同定が進んでいる。 先行研究でArf6欠損細胞とドミナントネガティブ変異体を発現させた細胞において、コレステロールの蓄積が観察されている。そこで、CCDC120/cytohesin-2シグナル伝達系を阻害するCCDC120変異体を発現させた細胞でもコレステロールの蓄積が確認できるか否か検討したが、コレステロールの過剰な蓄積は観察できなかった。 従って、CCDC120/cytohesin-2/Arf6が、後期エンドソーム・リソソームを介するコレステロール輸送系に関与しない可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
内在性のCCDC120の細胞内局在解析が市販の抗体や作製した抗体では困難であったため、CRSPR/Cas9ゲノム編集技術による方法に切り替えた。その準備のため、予定よりやや遅れている。その他の解析の進捗状況は、概ね良好である。 次年度は、この同定をさらに進めCCDC120の細胞内局在システムの解析を進める予定である。また、パーキンソン病原因因子であるLRRK2によるCCDC120のリン酸化解析もほぼ準備が整ったため解析を開始する。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、 内在性CCDC120の細胞内局在解析を優先し合成後の輸送先を決定する。過剰発現させたようなdroplet様な構造を示さなかった場合、CCDC120が蛋白質の濃度依存的な液液相分離(LLPS)を形成していると想定している。 近年、LLPSがオートファジーを制御することが報告されている。よって、CCDC120がLLPS形成を介してオートファゴソーム-リソソームの融合に関与しているか否か検証する。
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Causes of Carryover |
所属先の科研費管理システムが不慣れであったため、次年度使用額が生じてしまった。 これらは、次年度に試薬類の購入に充てる予定である。
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