2021 Fiscal Year Research-status Report
ドーパミン作動性ニューロンのリソソームを介した新規細胞外分泌機構の解明
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20K06646
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
鳥居 知宏 同志社大学, 脳科学研究科, 准教授 (00515603)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 神経細胞 / cytohesin-2 / Arf6 |
Outline of Annual Research Achievements |
中枢神経及び末梢神経系に発現するcytohesin-2は、細胞膜や細胞内輸送を制御するAr6を基質とし、結合蛋白質によって神経細胞内の局所的なArf6の活性化に寄与することがわかってきた。新規cytohesin-2結合タンパク質CCDC120は、cytohesin-2の局在を制御し、Arf6の活性化にも影響することを明らかにした(Torii et al., 2014)。さらにCCDC120を神経細胞や細胞株に強制発現させると、小胞様構造体や一部のリソソームに局在した。 本研究では、まずCCDC120の細胞内局在を同定するため、RFP-CCDC120を強制発現させた細胞を種々の細胞内小器官マーカーの抗体を用いて免疫染色を行った。結果、CCDC120は、エンドソーム、ミトコンドリア、小胞体などには局在せず、リソソームに一部局在するもののそのほとんどは、まだ未同定の小胞などに局在していることがわかった。 一方、CCDC120はパーキンソン病の原因遺伝子の一つであるLRRK2によってリン酸化されることがわかっている。本研究では、LRRK2によるCCDC120のリン酸化が、Cytohesin-2-Arf6の活性化に寄与し、エンドソームあるいはリソソームからの小胞輸送に関与するのではないかという仮説を検証する。また、パーキンソン病においては、変異によりLRRK2が活性化されていることが知られている、よって過剰なCCDC120のリン酸化がCytohesin-2-Arf6由来のシグナル伝達経路を破綻させているのではないか否かも検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
強制発現ではなく内在性CCDC120の細胞内局在を解明するため、市販のCCDC120抗体以外に抗体作製を試みたが、特異的にCCDC120を認識する抗体を得ることができていない。そのためCCDC120の局在解析は、想定よりやや遅れている。 LRRK2によるCCDC120のリン酸化解析は、ほぼ材料が揃ったので早急に開始する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
CCDC120を強制発現するとvesicle様の構造体を示すが、現段階では内在性CCDC120はその様な局在を示さない。それらは高濃度によって形成する液液相分離を観察している可能性が比較的高いことがわかってきた。よって、CCDC120がLLPSを形成するか否かを検証すると共に、それによってArf6の活性化に影響する新規分子基盤を解明を目指す。
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Causes of Carryover |
予算の管理に不慣れのため、差引額が生じてしまった。
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