2021 Fiscal Year Research-status Report
ライブイメージングと数理モデルを用いたグルコース感知機構の解析
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20K06647
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
佐野 浩子 久留米大学, 付置研究所, 講師 (90506908)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | グルコース感知 / 糖代謝 / Mondo/ChREBP / ショウジョウバエ / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はマウスにおけるポリオール経路の役割を解析した。ポリオール経路の第2段階を触媒するソルビトール脱水素酵素 (Sord) をCRISPR/Cas9システムを用いてノックアウトし、ポリオール経路の機能を完全に欠損したマウスを作製した。このノックアウトマウスを用いて、ポリオール経路がマウスにおいてもグルコース摂取依存的にChREBPを活性化するグルコース感知システムとして機能するかどうか解析した。マウスにグルコースを経口摂取させ、15分後の肝臓におけるChREBPの核移行を解析したところ、野生型ではグルコース摂取依存的に核移行が見られたのに対し、Sordノックアウトマウスではグルコース摂取に応答した核移行は観察されなかった。これらの結果から、ポリオール経路はマウスにおいてもグルコース感知システムとして機能することが明らかになった。また、Sordノックアウトマウスではグルコース摂取後の血糖値の回復が遅れることが明らかになった。インスリン分泌は正常であったため、インスリン感受性が低下していることが示唆された。これらは先行研究で報告されているChREBPノックアウトマウスの表現型の類似しており、ポリオール経路がChREBPの上位で機能することと矛盾しない。 次に、糖の過剰摂取による肥満や肝脂肪蓄積におけるポリオール経路の関与について検討した。マウスにグルコース水を14週間与え、体重および肝脂肪蓄積を測定した。その結果、野生型とSordノックアウトマウスにおいて体重増加に差はなく、肝臓脂肪量は予想に反してSordノックアウトマウスの方が多い傾向が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスを用いた解析において、ポリオール経路がショウジョウバエの場合と同様にグルコース感知システムとして機能し、一定の生理機能を有することを示すことができたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、複数のグルコース代謝経路の中でポリオール経路が細胞内に流入したグルコース濃度を最も良く反映する経路であるのかどうかを、ライブイメージングと数理モデルを用いて解析する予定である。解析に必要なショウジョウバエ系統は初年度に作製した。ライブイメージングには研究協力者が所有する顕微鏡が必要であり、コロナウイルス流行のため訪問が難しかった。今後コロナウイルス流行の状況を考慮しつつ、実施したいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究協力者の研究室を訪問して実験を行う予定であったが、コロナウイルスの流行により訪問することができなかった。2022年度はコロナウイルスの流行を注視しつつ訪問する予定であり、次年度使用額は旅費として使用する予定である。
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[Presentation] The roles of the polyol pathway in sensing glucose uptake.2021
Author(s)
Sano, H., Nakamura, A., Yamane, M., Niwa, H., Nishimura, T., Araki, K., Takemoto, K., Ishiguro, K., Aoki, H., and Kojima, M.
Organizer
第14回日本ショウジョウバエ研究会
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