2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the molecular mechanism for accurately and efficiently retrograde cargo transport from the Golgi to the ER
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20K06650
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
黒川 量雄 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 専任研究員 (40333504)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 逆行輸送 / 積荷受容体 / 小胞体 / COPI / ゴルジ体 / 多色4次元イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
ゴルジ体から小胞体への逆行輸送は、COPI小胞が担っている。本研究課題では、ゴルジ体から小胞体への逆行輸送機構の解明を目指している。小胞体からゴルジ体へと積荷タンパク質を輸送する積荷受容体Emp24は、積荷をゴルジ体へと輸送した後、自身は小胞体へと逆行輸送される。一方、ゴルジ体に局在する積荷受容体Rer1は、ゴルジ体へ輸送された小胞体局在タンパク質を小胞体へと逆行輸送する。そこで出芽酵母の分子機能変異株の利用とこれら積荷受容体の高時空間分解能4Dイメージングを組み合わせることで小胞体-ゴルジ体間の逆行輸送の分子機構に迫る。 新規に合成された積荷タンパク質の一部は、Emp24と複合体を形成し、小胞体のERESに集積 するCOPII小胞を介してゴルジ体へ輸送される。これまでに、高時空間分解能3次元、4次元イメージングによりEmp24の細胞内局在と動態を解析した。出芽酵母のEmp24、ゴルジ体シス槽のマーカータンパク質Sed5、ERESのマーカーSec13をそれぞれ異なる蛍光タン パク質で標識した出芽酵母株を作成し、多色同時3次元イメージング解析を行ったところ、Emp24-GFPは、主にSec13-iRFPで標識されるERESおよびその近傍に集積し、mRFP-Sed5で標識されるゴルジ体シス槽には、ほとんど局在しなかった。次に4次元イメージングを行った結果、ゴルジ体シス槽がERESに接触した際に Emp24-GFPが一過的にはゴルジ体シス槽へと移動し、速やかにERESへと戻ることが明らかとなった。更に、高温下でCOPI機能阻害が起きる出芽酵母株を用いてCOPI 機能を阻害するとEmp24-GFPがゴルジ体に留まることが判明した。以上の結果より、ゴルジ体とERES接触により、逆行輸送が速やかに達成することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究代表者はこれまでに高時空間分解能4Dイメージングにより、小胞体からゴルジ体への積荷タンパク質輸送は、ERESとシスゴルジ槽が接触するハグアンドキスアクションで達成されることを示してきた(Kurokawa et al., Nat commun. 2014)。本研究では、出芽酵母の小胞体-ゴルジ体間で働く積荷受容体Emp24、ゴルジ体シス槽のマーカータンパク質Sed5、ERESのマーカーSec13をそれぞれ異なる蛍光タンパク質で標識した出芽酵母株を作成した。3Dライブイメージングを行った結果、Emp24は主にERES近傍に集積し、ERESに接触しているゴルジ体シス槽にも一部局在していた。一方で、ERESから離れたシスゴルジ槽にはほとんど局在していなかった。そこで、小胞体ゴルジ体シス槽間のEmp24の動態を4Dライブイメージング解析した。その結果、シスゴルジ槽がERESに接触すると、Emp24はシスゴルジ槽へ一過的に移動し、その後、シス槽がERESから離れる前に速やかに元のERESへと戻ることが明らかになった。次に出芽酵母変異株を用いてCOPI機能を阻害した条件でEmp24の局在を解析したところ、ERESから離れて存在するシスゴルジ槽にもEmp24が局在することが明らかになった。これらの結果は、ERESとシスゴルジ槽の接触の間に順行輸送とCOPI 依存的な逆行輸送が同時に達成されることを示しており、小胞体-ゴルジ体間のタンパク質輸送を正確かつ効率的に達成する分子機構の一端が明らかになりつつある。以上のことから本研究は予定通り進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究からERESとシスゴルジ槽の接触の間に順行輸送とCOPI 依存的な逆行輸送が同時に達成されることを示唆する結果が得られている。この結果は、ERESとシスゴルジ槽の接触、ハグアンドキスアクションが、小胞体-ゴルジ体間のタンパク質輸送を正確かつ効率的に達成する機構であることを示唆している。今後は、出芽酵母のRer1、ゴルジ体シス槽のマーカータンパク質Sed5、ERESのマーカーSec13をそれぞれ異なる蛍光タンパク質で標識した出芽酵母株(野生型な らびにCOPI機能変異株)を用いて、高時空間分解能4Dイメージングによりその動態を明らかにしていくとともに、様々な出芽酵母の分子機能変異株の利用を組み合わせて詳細に比較、解析することでゴルジ体から小胞体への逆行輸送の分子機構の解明を目指していく。
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Causes of Carryover |
病気療養のため次年度使用額が生じた。今年度の消耗品等へ利用する。
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Research Products
(3 results)