2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the molecular mechanism for accurately and efficiently retrograde cargo transport from the Golgi to the ER
Project/Area Number |
20K06650
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
黒川 量雄 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 専任研究員 (40333504)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 逆行輸送 / 積荷受容体 / 小胞体 / COPI / ゴルジ体シス槽 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゴルジ体から小胞体への逆行輸送は、COPI小胞が担っている。しかし、詳細な機構は未だ明らかではない。本研究課題では出芽酵母S. cerevisiaeを用い、ゴルジ体から小胞体への逆行輸送を正確かつ効率的に達成する機構解明を目指している。小胞体からゴルジ体シス槽へ積荷タンパク質を輸送する積荷受容体Emp24は、積荷をシス槽へ輸送した後、自身は小胞体へと逆行輸送される。そこで分子機能変異株とイメージング解析を組み合わせ、小胞体-ゴルジ体間の逆行輸送の分子機構に迫った。 本年度は、Emp24とシス槽とERESのマーカーSed5及びSec13を発現したCOPI温度感受性株を用いてEmp24の局在と動態を解析した。COPIが機能する条件では、Emp24はERESとその近傍に局在し、シス槽にはほとんど局在しなかった。次に動態を解析した結果、シス槽とERESが接触する間にEmp24のシス槽への順行輸送とERESへの逆行輸送が達成されることが示された。次にCOPI機能を阻害すると、シス槽とERESが離れた後も、Emp24はシス槽に留まる傾向も判明した。これらの結果から、シス槽とERESが接触している間に、Emp24のシス槽への順行輸送とその後のCOPI小胞によるERESへの逆行輸送が達成されることが示唆された。 小胞体へ逆行輸送されるCOPI小胞は、ER arrival sites (ERAS)で補足されると考えられている。出芽酵母P. pastorisでは、ERESとERASが物理的・機能的に繋がっていることが示された。そこで、S.cerevisiaeのERASとERESの局在と動態を解析した。ERASは、ERES周辺に局在して一部はERESと共局在し、ダイナミックにERESとの位置関係を変化させることが明らかなった。以上のことから、ゴルジ体シス槽とERESが接触しERASもシス槽近傍に位置することで、Emp24の順行輸送とCOPI小胞による逆行輸送が正確かつ効率的に達成されることが示唆された。
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