2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K06656
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
竹内 隆 鳥取大学, 医学部, 教授 (70197268)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | hox / 器官サイズ比 / 尾長 / 椎骨数 / 椎骨サイズ |
Outline of Annual Research Achievements |
動物の様々な組織は一定のサイズ比になるように発生し、それが維持される。この機構は動物の生存と活動のために極めて重要であるが、その分子機構はほとんどわかっていない。私たちはイモリで作製されたhox13変異体(以下変異体)で尾長率が著しく増加することを発見した。このような器官サイズ比に異常をきたす変異体はほとんど見つかっておらず、その解析は上記の分子機構の理解に役立つ。本年度では、まず、その伸長原因を探るため、野生型と変異体で変態後の様々な成長ステージで尾長率、尾椎の数、そして一個一個の尾椎サイズの測定をマイクロCTを用いて行った。野生型は3ヶ月齢から5年齢の33匹、変異体は3ヶ月齢から2年齢の18匹のイモリを解析した。その結果、他のサラマンダー類で既に報告されているようにイベリアトゲイモリの野生型においても成長とともに尾椎数が漸増すること、しかし、尾サイズの伸長にはこの尾椎数の増加の寄与はわずかで一個一個の尾椎サイズの増加が大きな要因であることが判明した。一方、変異体では野生型と比べ、高い速度で尾椎数が増加し、最終的には約2倍の尾椎数になった。また、尾椎サイズの増加も認められたが、尾椎数の増加の結果起こる調節機構のためと考えられた。なぜならば、同じ頭胴長をもつ野生型と変異体では最も根元と最も先端の尾椎のサイズはほぼ同じでその間の尾椎サイズはいずれも直線的に変化するからである。このことからイモリの尾では根元から先端まで一定比率で尾椎サイズが決まる機構があり、その機構は変異体でも正常に機能していると考えられる。以上の結果から変異体が野生型に比べ、尾長率が増加する原因は尾椎数の増加であることがわかった。したがって、hox13遺伝子は尾椎数を制御することにより尾長率を一定に保つ役割があることが示された。本研究は様々な動物の様々な組織のサイズ比を決定、維持する機構の理解に大いに寄与する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の目標として変異体の尾長率が増加する要因を尾椎レベルで明らかにすることが達成されたともにイモリがもつ尾椎サイズ制御機構を新たに発見できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の成果を基盤に以下の研究を推進する。 1. 変異体で尾長率の増加が初めて認められるのは変態以前の時期で硬骨化してないため、昨年度使用したマイクロCTによる解析が不可能である。このため、軟骨を染色することで尾椎数とサイズの変化を調べる。また、同時に尾椎が増加する背景を組織学的に解析する。 2. 上記の解析に加えて余裕があれば、尾におけるhox13遺伝子の発現をさまざまなステージで調べ、いつ、どこで働くかをみる。この結果、生涯にわたって尾椎数を制御する機構の解明に役立てる。
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Research Products
(5 results)