2023 Fiscal Year Annual Research Report
Study of the mechanism of induced graying by blocking blood flow and development of new methods for prevention and treatment of hair graying
Project/Area Number |
20K06657
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
松崎 貴 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 教授 (90241249)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 白髪モデルマウス / 血流遮断 / Dct / 色素幹細胞 / 老化 / 毛周期 / 毛包 / 薬剤開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
ワックス脱毛により人為的に毛周期の成長期を誘導したマウスの背部皮膚をつまみ上げ、0.5 mm厚シリコーンシートで覆ったのち、両側からC字型ネオジウム磁石で挟んで6時間以上圧迫すると白毛化が起こることを発見した。シートで覆わないと白毛化しにくいことから、単に血流を遮断するだけでなく、皮膚表面でのガス交換を抑制する必要があると考えられる。皮膚の組織切片を作製し、色素幹細胞のマーカーであるDctに対する免疫組織化学を行ったところ、白毛を生み出す毛包でもバルジ部にDct陽性細胞が確認されたことから、一般に考えられているように色素幹細胞が枯渇して白毛化するのではなく、幹細胞の増殖・分化が抑制されることが原因であると考えられる。すべての毛が白くなるわけではなく、毛包ごとに白毛と黒毛とが分かれるモザイクパターンとなったが、毛周期が3回転する間、継続して写真撮影して比較したところ、白毛毛包からは白毛が、黒毛毛包からは黒毛が生え変わり、パターンが維持され、毛色の調節がエピジェネティックな調節により固定化するものと推察された。白毛を黒毛に復活させることが可能かどうか確かめるために、白毛化したマウスの背中皮膚をワックス脱毛して成長期を誘導し、毛が表面に出始めるまで6日間にわたって毎日、色素細胞の分化を促進すると考えられるDBcAMPやSilibininを注射したところ、一つ前の毛周期と比べ黒毛の割合が最大で約20%増加した。これらの結果は、皮膚の血流遮断によって誘導された白毛は、これまでに開発されてきた放射線連続照射による白毛モデルマウスなどと違い、適切な処置により復活が可能な老化初期の白髪の良いモデルであり、白髪化のメカニズム解明や改善薬の開発などに有用であると考えられる。
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