2021 Fiscal Year Research-status Report
多細胞体構築における転写振動と細胞外環境の相互作用の解析
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20K06659
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
村本 哲哉 東邦大学, 理学部, 准教授 (10612575)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 発生・分化 / 遺伝子発現 / ライブイメージング / CRISPR/Cas9 |
Outline of Annual Research Achievements |
個々の細胞から多細胞体が構築される過程では、分化を誘導するシグナルに応じて適切なタイミングで遺伝子発現が制御されている。この過程を新生RNAの1細胞レベルでの計測法を用いて定量したところ、遺伝的に同一な細胞群に同じシグナル刺激が加わったとしても細胞間で応答のばらつき(不均一性)が生じることがわかってきた。現在、不均一な応答にもかかわらず、秩序正しく多細胞組織を形成する普遍原理の理解を目指した研究を実施している。今回は、イメージング解析に用いる細胞株作製を高効率で行うための方法としてCRISPR/Cas9技術に着目し、ノックインや点変異作製技術を構築してきた。ゲノム配列がATに富む細胞性粘菌では、標的となりうる候補配列の出現頻度が他の生物に比べて低い。この主な原因は、標的配列に続くPAM(protospacer adjacent motif)配列がNGGというGCリッチである必要があるためである。そこでPAM配列の制限が緩和されたCas9として知られるSpCas9-NGやSpRYを用いて、イメージング解析に必要なノックイン細胞の高効率での作製法を確立した。これにより過剰発現株ではなく内在性の分子量を反映した形での発生分化の定量解析が可能となった。次に、これらの細胞株にシグナル伝達経路を操作する光応答タンパク質を導入することで、多細胞体構築を青色光により誘導することに成功した。現在、シグナル伝達経路の活性化と転写因子や転写動態の定量化、さらには協調的な細胞運動をモニターすることで多細胞組織構築過程の理解を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イメージング解析に必要となる細胞構築法や光操作技術が確立したため、おおむね予定通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
周期的な遺伝子発現や細胞の集団運動の関係を明らかにすることに重点を置きつつ進める。さらに、細胞外環境の操作が及ぼす影響についても検討を進める。
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Causes of Carryover |
進行の都合上、実験の順序を一部入れ替えて実施したため未使用額が生じた。未使用額は、次年度行うイメージング関連の研究を効率化するための経費として充てることとしたい。
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Research Products
(9 results)