2021 Fiscal Year Research-status Report
四肢再生特異的に働く転写因子を起点とした再生駆動機構解明とカエル成体の再生能回復
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20K06664
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
川住 愛子 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 訪問研究員 (80625484)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 四肢再生 / 形態形成 / ゲノム編集 / トランスクリプトーム解析 / アフリカツメガエル / ネッタイツメガエル / RNA-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
ツメガエルは高い再生能力をもっており、幼生期に四肢を切断しても完全に再生することができるが、変態後の幼若個体では再生能力が低下して主に1本の軟骨と表皮からなるパターンのない構造(スパイク)しか再生できない。 本研究では、これまでに再生能力の高い幼生の四肢再生・発生過程における形態形成期についてトランスクリプトーム比較解析を行い、再生領域特異的に発現上昇する遺伝子10個を同定、そのうち最も再生特異性の高い2つの転写因子(X1, X2)について、ネッタイツメガエルにおいてゲノム編集によりKO個体(機能欠損解析)を作製し、またアフリカツメガエルにおいて熱ショック応答により遺伝子発現を誘導できるTransgenic個体(機能獲得解析)を作製していた。その結果、KO幼生の四肢再生において約4割の個体で形態形成遺伝子発現パターン異常が、またTg幼若個体の四肢再生において約3割の個体で先端が2~3本に分岐した軟骨をもつ再生物が見られていた。 本年度はX1およびX2のKO個体ならびに過剰発現個体における形態形成遺伝子発現パターン確認の追加実験と細胞増殖パターン確認を行った。 まず幼生KO個体でRNAscopeアッセイとリアルタイムPCR解析を行ったところ、遠位/後方パターニング遺伝子発現が野生型に比べて有意に低下していた。一方、過剰発現Tg(+)幼若個体では遠位ならびに後方パターニング遺伝子がTg(-)個体に比べて有意に発現上昇した。 さらに、遺伝子X1の幼生KO個体/過剰発現Tg(+)幼若個体の四肢再生において、再生遠位領域の低形成/膨大がそれぞれ確認されたため、それぞれの形態変化が現れる少し前の再生遠位領域における細胞増殖パターンをリン酸化ヒストンH3の免疫染色によって確認したところ、それぞれコントロールに比べて増殖細胞数が有意に減少/増加していた。 これらの結果を含め、遺伝子X1とX2がツメガエル四肢再生に果たす役割について述べた論文を作成し、投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画のとおりに実験を遂行できた。得られた結果に関しても、概ね予想通りであった。また予定していた通り、これまでに得られた結果をまとめた論文を作成し、投稿できた。 以上より、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
投稿論文のreviseに対する追加実験を行う。 遺伝子X1, X2の下流シグナルの詳細解析と、ツメガエル再生過程における細胞多様性の解析を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度交付額のほぼ全てを使用したが一致させることが難しく、次年度使用計画に影響をおよぼさない程度の次年度使用額が生じた。
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