2020 Fiscal Year Research-status Report
Regulation of cell differentiation by novel autophagy regulators
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20K06672
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
山田 葉子 上智大学, 理工学部, 准教授 (80859695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川田 健文 東邦大学, 理学部, 教授 (30221899)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オートファジー / 細胞性粘菌 / 細胞分化 / 胞子 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞性粘菌の細胞分化調節に働く新規オートファジー調節因子knkAおよびbcas3について、他の生物における機能保存性を調べる目的で、マウス及びシロイヌナズナにおけるオーソログを細胞性粘菌の遺伝子破壊株へ導入し、表現型が相補されるか検討した。最初に得られたマウスknkA発現株で表現型の相補が確認され、分子機能が深く保存されていることが強く示唆された。しかしながらオーソログ発現量が予期より高く不均一であるなど、本研究で計画している細胞内局在などのさらなる解析に用いるには問題が見られた。現在ベクターを改良し発現細胞を再構築している。knkAの分子機能解析を目的とした部分領域の発現ベクターについても構築しつつあったが、上述の結果に鑑みてベクターの切り替えを進めている。 また細胞性粘菌の進化におけるknkA, bcas3の働きの変遷を知るため、進化系統グループ2に属するPolysphondilium pallidum、およびグループ3、4の中間に位置するP. violaceumにおけるknkA, bcas3遺伝子破壊を計画し、ベクターを構築している。 一方過去の研究において、胞子形成異常と柄細胞分化促進などknkA、bcas3遺伝子破壊株と非常に似た表現型を示すpikfyve遺伝子変異株が分離されていた。胞子分化調節機構の解析の一環としてProf. Pauline Schaap (University of Dundee)と共同でpikfyve機能の解析を進めた結果、pikfyveはオートファジーに関与しておらず、knkAと異なる経路で働いていることがわかった。 また細胞分化におけるオートファジーの役割を理解することを目的にオーキシンデグロン法(AID)を用いて、分化過程の特定の段階でオートファジーを抑制する試みを新たに計画し、必要な発現調節ベクターの作製を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルス感染症にともなう研究自粛により研究の開始が大幅に遅れ、かつ研究代表者の機関移動も伴ない、中心課題の進行に遅れが生じた。一方で、胞子分化に働く他の遺伝子に関する機能解析を行うとともに、研究分担者によるオーキシンデグロン法を用いたオートファジーの役割解析を開始したが、総合的にはやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
knkA, bcas3の分子機能解析とその進化的変遷の理解を目的とした研究計画を継続する。具体的には他生物knkA, bcas3オーソログ、細胞性粘菌のknkA部分領域、bcas3と相同性を持つatg18, wdr45など種々の遺伝子発現細胞の構築、及びP. violacium, P. pallidumにおけるknkA, bcas3遺伝子破壊を引き続き行う。確立できた組換え体は順次目的に沿って、発生と細胞分化に関する表現型の解析、発現タンパク質の細胞内局在、KnkAオーソログや部分領域とBcas3の結合能などを解析する。 cAMP情報経路のBioIDを用いた生化学的解析について、cAMP receptor-BirA発現細胞が構築でき次第、生化学解析を進める。 細胞分化におけるオートファジーの役割を理解するうえでは、オートファジー活性を任意の発生時期や細胞型で抑制することが有効である。しかしこの目的に適したオートファジーの特異的な阻害剤は無い。そこでオーキシンデグロン法を用いて、オートファジータンパク質の分解による活性調節を計画した。最小デグロン(mAID)をタグとして付加したAtg7を発現する細胞を構築のうえ、発生の異なる段階におけるオートファジー阻害とその影響を検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ感染症及び研究代表者の期間移動に伴って研究に遅れが生じ、その結果次年度使用額が生じた。 令和3年度には、当初令和2年度に計画していた内容を含め、研究を継続して進めていく。そのための物品費等として令和3年度請求分と合わせて使用する予定である。
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