2022 Fiscal Year Annual Research Report
マウス大脳皮質発生過程でのCa2+依存的低濃度Shhシグナル伝達経路の解明
Project/Area Number |
20K06674
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
元山 純 同志社大学, 脳科学研究科, 教授 (70321825)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 神経幹細胞 / マウス胚 / カルシウム / Shh |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内カルシウム濃度([Ca2+]i)の変動は、神経前駆細胞(NPC)の増殖、中間前駆細胞(IPC)の脳室帯(VZ)からSVZへの移動、未熟ニューロンのSVZから皮質板への移動など、中枢神経系の発生における様々な過程に関与することが知られている。しかし、NPCの発生、特に自己複製NPCからニューロン生成NPCや未熟ニューロンへの分化における[Ca2+]i変動の役割は解明されていない。我々は、急性皮質スライスおよびマウス胚性皮質から分離した細胞のカルシウムイメージングを用いて、E12からE16までのVZ細胞における[Ca2+]i変動のパターンの時間変化を検討した。その結果、Pax6-陽性自己再生NPCの細胞内Ca2+レベルは、その神経分化に伴い減少することが確認された。E11では、Pax6陽性NPCとTuj1陽性未熟ニューロンが特徴的な[Ca2+]i変動を示した。Pax6陽性NPCでは一過性の[Ca2+]i変動を示すものは少ないが、Tuj1陽性未熟ニューロンでは多くなり、[Ca2+]i変動のパターンの変化は分化に相関していると考えられる。NPCの発生過程における[Ca2+]i変動は、ほとんどがT型カルシウムチャネルによって媒介されており、ニューロスフィア培養においてT型カルシウムチャネルを遮断すると、スフィア数が増加し、神経分化が阻害された。この知見と一致して、in vivoでCav3.1をRNAiでノックダウンすると、Pax6陽性細胞が自己再生するNPCとして維持され、同時にNPCのTbr1陽性未熟ニューロンへのニューロン分化が抑制された。これらの結果から、Pax6陽性自己再生NPCの神経分化には、Cav3.1を介した[Ca2+]i変動が必要であることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)