2020 Fiscal Year Research-status Report
シングルセル解析による体節形成の多様性を統合する分子基盤の解明
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20K06676
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
小田 康子 (秋山康子) 大阪医科大学, 医学部, 非常勤講師 (80426650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 広樹 株式会社生命誌研究館, その他部局等, 主任研究員 (50396222)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | シングルセルRNA-seq / パターン形成 / オオヒメグモ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、オオヒメグモ胚を用いてシングルセルRNA-seq解析を行い、体節形成に関わる縞パターン形成時のダイナミックな遺伝子変化を細胞レベルで理解することを目指している。今年度は、これまでに最も情報の蓄積している胚盤期の胚を用いて、シングルセルRNA-seq実験の立ち上げを行った。この実験で重要となる解離細胞の準備方法として、受精膜のハンドピール、Cell Strainerによる解離、緩衝液の塩濃度、Cell Coverによる保存など、適切な条件を見つけることができた。ただし、発生の進んだ胚ではまだ条件検討が必要である。このようにして準備した細胞を用いて実際に次世代シーケンサーでデータを取得し、細胞のクラスター解析を行った。充分な量のデータが得られた約500の細胞は外胚葉、中胚葉、内胚葉の大きく3つのグループに分けられた。さらに、外胚葉の細胞は胚盤の縁から中心(将来の頭から尾)の向きにプロットされていることが分かった。外胚葉の各領域のマーカーとなる遺伝子には、前後のパターン形成に関わるHhシグナルにより制御される遺伝子が多数含まれており、新たに同定された遺伝子もクラスタリング解析から予想されたように前後軸上の特定の領域で発現することも分かった。これらのことから、シングルセルRNA-seq解析は細胞分化の解析だけではなく、パターン形成の解析にも利用できると考えられる。プロットのパターンが実際の胚における発現パターンと強く関連していることが分かったため、類似度検索のアルゴリズムを利用して、類似した発現をする遺伝子をプロットから探索する方法も開発した。プロットのパターンと合わせて、ラボのデータベースで公開予定にしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
シングルセルの実験方法を胚盤期の胚を用いた実験でほぼ固めることができたが、本研究の解析対象である体節形成期の胚の実験はまだ行えていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は体節形成期の胚を用いたシングルセルRNA-seqを行う。そして取得したデータをもとに細胞の状態を、胚を模した空間へ再構築することを目指す。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で実験ができない期間が生じてしまったため。 研究費はシングルセル実験に必要な試薬の購入と、次世代シーケンサーによるデータ取得の外注の費用として使用する計画である。
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Research Products
(4 results)