2022 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on molecular mechanism of heme-dependent retrograde signaling in plant cells
Project/Area Number |
20K06681
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増田 建 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00242305)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 葉緑体 / ヘム / レトログレードシグナル / テトラピロール / ABCトランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、植物細胞におけるヘム依存レトログレードシグナルの分子機構の解明を目的とした。植物における機能的な葉緑体構築は、核からのアンテログレードシグナルと、プラスチドからのレトログレードシグナル(RS)のバランスにより制御されている。葉緑体形成に関わるRSに関して、我々は色素体に局在するGUN1タンパク質が葉緑体分化を感知するセンサーとして中心的な役割を果たし、ヘム合成酵素FC1の制御を介して、RSであるヘムの伝達を制御することを世界で初めて明らかにした。 本研究において、我々は色素体内に蓄積したGUN1がヘム結合液滴を形成し、葉緑体分化に伴って、ヘムを輸送するモデルを提案した。またプロテオミクス解析により同定したABCGトランスポーター(ABCG23)の機能解析に取り組んだ。共発現解析および系統解析により、パラログであるABCG10が存在することを見出した。これらトランスポーターは、ヒトABCG2/BCRPと相同性を示し、N末端側に核酸結合ドメインを、C末端側に6回の膜貫通領域を有するタンパク質であった。生化学的解析により、2つのトランスポーターがホモ二量体を形成し、5番目と6番目の膜貫通領域の間に存在するループ領域を通って基質を輸送することを見出した。また、タンパク質がヘミンアガロースに結合すること、色素体包膜に局在することを明らかにした。さらにプロテオリポソームを用いた輸送活性測定系を確立し、ABCG23がヘムを、ABCG10がヘムとMg-プロトポルフィリンIX特異的に輸送出来ることを明らかにした。また分子遺伝学的解析に取り組み、それぞれ単独の遺伝子欠損変異体は明確な表現型を示さないことから遺伝的な冗長性があることを見出しており、現在、二重変異体の単離を行っている。
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Research Products
(15 results)