2020 Fiscal Year Research-status Report
アクチン脱重合因子による新規核内DNA倍加制御機構の解析
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20K06690
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| Research Institution | Osaka Prefecture University |
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Principal Investigator |
稲田 のりこ 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (30432595)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾形 善之 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (90446542)
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| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | アクチン脱重合因子 / DNA倍加 / 植物生長 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者はこれまでの研究において、シロイヌナズナのアクチン脱重合因子（ACTIN DEPOLYMERIZING FACTOR、ADF）の変異体では植物サイズが増大し、かつ成熟葉における核内DNA倍加が亢進することを見出した（稲田、論文投稿中）。本研究の最終的な目的は、ADFを介した核内DNA倍加亢進の機構を解明することである。その目的のため本年度はまず（１）成熟葉以外の器官の核内DNA倍加におけるadf変異の影響を明らかにするための研究を進めた。また本研究を遂行する途中で、adf変異体の植物サイズ増大表現型の程度が、環境によって変化することに気づいた。今後核内DNA倍加亢進の分子機構を明らかにするには、安定して表現型を得る条件の特定が必要不可欠である。このことから本年度は、（２）adf変異体の植物サイズ増大表現型を誘導する環境条件の特定についての検討を進めた。
（１）成熟葉以外の器官の核内DNA倍加におけるadf変異の影響：研究対象としているサブクラスI ADF（ADF1、-2、-3、-4）はいずれも植物体全体で発現しており、成熟葉以外の器官でも核内DNA倍加が亢進している可能性は高いと考えられた。根、および暗所胚軸を用いた解析を行い、これらの器官についてもadf変異体では核内DNA倍加が亢進していることを明らかにした。
（２）adf変異体の植物サイズ増大表現型を誘導する環境条件の特定：核内DNA倍加は光条件や温度など、さまざまな環境要因によって影響を受ける。本年度は光条件に着目した解析を行い、光強度によって野生型・adf変異体の植物の成長と最終的な植物サイズが大きく異なることを明らかにした。一方で、adf変異体の植物サイズ増大を安定して誘導する条件についてはまだ特定できておらず、引き続き解析中である。また、光強度の変化が核相に与える影響についても現在解析中である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の研究計画にあった（１）成熟葉以外の器官の核内DNA倍加におけるadf変異の影響について解析を進め、adf変異体では根や暗所胚軸においても核内DNA倍加が亢進していることを明らかにした。これらの結果は、申請時に明らかになっていたadf変異体における植物サイズ増大・核内DNA倍加亢進の表現型についての結果と合わせ、現在論文投稿中である。一方、申請時の研究計画にある（３）既知の核内DNA倍加亢進経路に関わる因子の解析、トランスクリプトーム解析についてはまだ未着手であるが、上述の研究実績の概要にも記した通り、adf変異体の植物サイズ増大・核内DNA倍加亢進の表現型を安定して得るための環境条件の特定を現在進めており、この課題についても成果を得つつある。
以上のことから現在までの進捗状況は、おおむね順調に進展しているものと判断した。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後は、（１）成熟葉以外の器官の核内DNA倍加におけるadf変異の影響、についての結果を、これまで得られているadf変異体における植物サイズ増大・核内DNA倍加亢進の表現型についての結果と合わせて論文として発表する。また現在進めている（２）adf変異体の植物サイズ増大表現型を誘導する環境条件の特定、を進める。adf変異体の植物サイズ増大、核内DNA倍加亢進を誘導する環境条件が特定できたら、その結果を論文として発表する。さらに、特定した環境条件を用い、（３）既知の核内DNA倍加亢進経路に関わる因子の解析、トランスクリプトーム解析、を進め、adf変異体において核内DNA倍加亢進に関わる経路を同定する。
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| Causes of Carryover |
本研究の計画当初は、初年度に（３）既知の核内DNA倍加亢進経路に関わる因子の解析、トランスクリプトーム解析、を行う予定で、トランスクリプトーム解析に必要な予算を計上していた。一方で、今年度の前半は新型コロナウイルス感染症の蔓延で自宅待機を余儀なくされたこと、また、（２）adf変異体の植物サイズ増大表現型を誘導する環境条件の特定、を先に進めることが重要であるとの結論に達したことから、トランスクリプトーム解析に必要な予算を次年度以降に回すことにした。
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