2020 Fiscal Year Research-status Report
Mechanisms for transmission of short-day information to root via vascular system and acquisition of tolerance to winter environment in deciduous woody plant
Project/Area Number |
20K06698
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐藤 忍 筑波大学, 生命環境系, 副学長 (70196236)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 落葉樹 / 短日 / microRNA / 篩管 / 根 |
Outline of Annual Research Achievements |
落葉性樹木ポプラは秋~冬に休眠が誘導される際、短日によって根の緩やかな成長停止や冬季に増加する導管液有機物質に関する遺伝子の根における発現が誘導される。これらの変化は短日を受容した地上部で合成されたシグナル分子が篩管を介して根へ輸送されることにより起こると考えられた。また、シュートの休眠誘導に働くABAの投与は導管液有機物に関わる遺伝子の一部しか誘導しなかったため、ABA以外の短日シグナルの候補としてmiRNAが挙げられた。これまでの研究で、短日条件下のPopulus trichocarpaの葉で発現量が増加し、カボチャ等の篩管液のmiRNAデータベースに含まれるmiRNAが複数同定されたので、これらのmiRNAの働きを明らかにすることを目的とした。 ハイブリッドアスペンを用いてMIRNA遺伝子の欠損変異体をゲノム編集により作出し、人工的年間環境サイクル下で栽培し、短日下における根の伸長及びmiRNAのターゲット遺伝子と導管液有機物に関わる遺伝子の発現解析を行った。miRNAの変異体において、根の伸長量は有意に変化しており、根での遺伝子発現は、ターゲット遺伝子で増加の傾向が、導管液有機物に関わる遺伝子では増加または減少の傾向が見られた。miRNAのターゲット遺伝子から、miRNAは植物ホルモンシグナリングに関与して根の休眠を制御している可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
miRNAの変異体の作出に成功し、その変異体では根の伸長量が有意に変化しており、根における遺伝子発現を調べたところ、ターゲット遺伝子では増加の傾向が、導管液有機物に関わる遺伝子では増加または減少の傾向が見られたので。
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Strategy for Future Research Activity |
1、引き続き、miRNAの変異体の作出と解析を進める。 2、長日および短日で処理したポプラのシュートを切り取り、明条件下でカロースによる篩管閉鎖を防ぐためにEDTAを加えた溶液(RNase阻害剤を含む)に切り口を漬け、茎の切り口から放出される篩管液物質を回収し、対象のmicroRNAsをsmall RNA用のRT-PCRで増幅することで、対象のmicroRNAsの中からどのmicroRNAが実際に短日下のポプラで篩管液中を移動するか明らかにする。 3、長日条件と短日条件に置いた個体からサンプリングした根から調整したRNAをGeneChipTM Arrayを用いて解析し、根において短日で発現に増・減のある遺伝子を同定する。 4、microRNAsのプロモーターの下流にβ-グルクローニダーゼ遺伝子を挿入したコンストラクトを導入したポプラを作出し、microRNAの組織特異的発現を解析し、篩管へのローディングの過程を推定する。
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Research Products
(1 results)