2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of upstream mecahnisms for a plant specific heat stress response pathway
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20K06700
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
溝井 順哉 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (20469753)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 植物 / 高温ストレス / 転写因子 / リン酸化 / CK1 / インタラクトーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、DREB2Aの負の翻訳後制御にかかわるリン酸化を担うプロテインキナーゼの同定と、高温ストレスによるDREB2Aのリン酸化抑制機構の解明を目的としている。 DREB2Aをリン酸化するプロテインキナーゼは、阻害剤実験からCK1が有力な候補であると考えられ、酵母ツーハイブリッド系においてDREB2Aと相互作用するCK1を複数同定している。そこで今年度は、これらのCK1がDREB2Aのリン酸化や分解に関わっているのか検証を行った。解析の結果、これらのCK1はin vitroでDREB2Aをリン酸化すること、プロトプラストの一過的発現系でDREB2Aのリン酸化に正に作用することが示された。また、突然変異体を用いた実験から、これらのCK1は長期間の高温ストレスあるいは高温ストレスからの回復時におけるDREB2Aの分解にかかわっていることが示された。一方で、通常条件下でのDREB2Aの分解には、他のCK1もかかわっている可能性が示された。 また、高温ストレスによるDREB2Aのリン酸化抑制機構、安定化・活性化機構の解明のため、プロテアソーム阻害剤処理、CK1阻害剤処理、高温処理の条件で、異なる状態のDREB2Aを蓄積させ、共免疫沈降されるタンパク質をMSで同定して比較インタラクトーム解析を行った。その結果、条件によってDREB2Aと相互作用するタンパク質の傾向が異なることが示された。また、条件によって相互作用が大きく変化するタンパク質を同定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CK1の突然変異体を用いた解析により、候補CK1が実際にDREB2Aの分解に関わっている可能性が示された。また、異なる条件下でDREB2Aの共免疫沈降を行う実験の結果、ストレス条件依存的に相互作用が変化するタンパク質を同定することができた。いずれも次年度以降の解析につなげることができる成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
候補CK1の解析を進め、通常条件およびストレス条件下での発現量、局在性や安定性、DREB2Aと相互作用について解析する。さらに、候補CK1突然変異体の更なる解析を進め、候補CK1が高温ストレスあるいはストレスからの回復期におけるDREB2Aの分解、ひいてはDREB2Aの下流遺伝子の発現やシロイヌナズナの高温耐性の制御に関わっているのか明らかにする。 一方、インタラクトーム解析から見いだされた、条件依存的にDREB2Aと相互作用すると考えられる候補因子に関して、相互作用の変化をBiFC法や一対一の共免疫沈降により確かめるほか、これらの候補因子のDREB2Aのリン酸化や分解、活性化における役割について、in vitroの系、一過的発現系、突然変異体や過剰発現体を用いて解析する。
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Causes of Carryover |
緊急事態宣言による研究の中断や時短により、実験量が減った。次年度以降はCK1および質量分析で得られた候補タンパク質について分子生物学的な解析を行う。突然変異体や形質転換体における遺伝子発現の解析等に活用する試薬の購入に用いる。
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