2020 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of temperature sensor and analysis of mechanism of vacuole collapse during temperature drop-induced injury in saintpaulia.
Project/Area Number |
20K06706
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三村 徹郎 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任研究員 (20174120)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | セントポーリア / 温度降下障害 / 液胞 / カルシウムイオン / MCAチャンネル / オーキシン / 柵状細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
イワタバコ科のセントポーリアの葉は、冷たい水が葉にかかると褐色に変化する。我々は、この現象が、急激な温度降下により①外部から機械受容Ca2+チャンネルを通して、柵状細胞へCa2+が流入し、②それが液胞を数分で崩壊させることで、③葉緑体が不可逆的な損傷を受けた結果であることを証明した。本研究では、反応が早く、観察が容易なこの温度感受の性質を利用して、 まず1)植物が温度変化を感知する機構を明らかにすることを目指した。既にシロイヌナズナ機械受容イオンチャンネルMCAのホモログが、この温度降下障害と密接に関連する可能性を示唆する証拠を得ている。MCAが温度センサーとして働く可能性を検証するために、ゼニゴケにセントポーリアの2つのMCAチャンネル遺伝子を導入してみたが、残念ながら、ゼニゴケ細胞は期待したような温度感受性は示さなかった。また、セントポーリアのCa2+チャンネルの全体像を明らかにするために、ゲノム解読を始めた。 今年度は、研究の場を神戸大学から東京大学に移したため、実験材料の状態回復に時間が掛かったが、その後以下のことを試みた。2)セントポーリア形質転換系の確立。最終的には、形質転換系を用いて、原因となる機構に人為的変更を加えて証明する必要ある。セントポーリアの形質転換については、現状では論文は存在するが、多くの研究室で成功していない。今期は無菌化系統を用いず、セントポーリアの高い再生能を利用して、形質転換系を作成することを試みた。形質転換に有効と思われるカルス様細胞の作出をするために、オーキシン処理、ヒストンアセチル化酵素の阻害剤処理、オーキシン情報伝達系の阻害剤などの処理で、どのような結果が出るかを試みたが、形質転換に利用できるようなカルス様細胞は作成できなかった。今後、さらにこれらの薬剤処理を組み合わせた実験を進める予定である。
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