2023 Fiscal Year Research-status Report
Identification of temperature sensor and analysis of mechanism of vacuole collapse during temperature drop-induced injury in saintpaulia.
Project/Area Number |
20K06706
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Research Institution | Kyoto University of Advanced Science |
Principal Investigator |
三村 徹郎 京都先端科学大学, バイオ環境学部, 教授 (20174120)
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Project Period (FY) |
2022-11-15 – 2026-03-31
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Keywords | 温度 / 液胞 / Caイオン / セントポーリア / 細胞死 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、以下の課題について研究を進めた。 【研究課題1:温度差を感知しているものは何か?】・セントポーリア形質転換系の確立:温度感受性セントポーリアの2つのMCAチャンネルの内の1つはCa2+チャネル活性を持たないことを見出している。実際、このCa2+チャネル活性を持たない遺伝子が、温度降下反応を示すこれまで調べたイワタバコの系統の異なる種全てで変異を持っていた。このイオンチャンネルが温度センサーとして機能するかどうかを証明するには、セントポーリアの形質転換を行って、このイオンチャンネルのノックアウト体を作ることが重要である。セントポーリア形質転換系作成の論文は存在するが、現状では申請者が知る限りの世界中の他の研究室で成功していない。我々は無菌化系統の作出には成功しているが、今年度は無菌化系統の維持と、効率の良い再生系の検討を行った。残念ながら、再生を調節することはまだ出来ていない。培養の過程で、細胞レベルで刺激感受性を持っていると思われる細胞ラインが見出された。現在、その系が維持できるかの検討を進めている。また、再生系が確立出来た場合には、それに対する形質転換を試みる。 【研究課題2:液胞が崩壊する分子機構は何か?】申請者の研究室では、多様な植物群からインタクト液胞を単離する系を確立している。セントポーリアの柵状細胞はかなり特殊な構造をしており、液胞の単離は簡単ではないと思われるが、それに挑戦するため、培養個体の数の増加を進めている。また、液胞崩壊に関わるとされるプロテアーゼ類の阻害剤処理などの生理実験を行うために、簡単な温度処理系の確立を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前任地の台湾で確立した無菌培養系を国内に持ち込み研究を続けている。培養細胞の成長速度が遅いこと、また分化能の条件設定を行うのに十分な量の培養細胞を準備するのに時間がかかっていることから、実験自体はやや遅れていると判断をした。 代わりに、研究実績の項で述べたように、培養の過程で、細胞レベルで刺激感受性を持っていると思われる細胞ラインが見出された。現在、その系が維持できるかの検討を進めている。もし、この細胞系を研究に利用することができるならば、植物体再生系を用いずに、細胞レベルで種々の実験が可能になることから、この細胞がどのような性質を持っているかの解析法を検討中である。 また、培養細胞からの再生系の確立に時間が掛かっていることから、他の実験として、液胞崩壊を引き起こす過程の生理解析を、阻害剤などを利用して進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
【研究課題1:温度差を感知しているものは何か?】・セントポーリア形質転換系の確立については、現在の無菌化培養系の維持と、より成長速度の早い新たな無菌系統の作出を試みる。また、培養条件(ホルモン条件など)の検討から、成長速度や再分化能を制御する可能性を明らかにする。 ・セントポーリアは、表皮細胞からの個体再生能が極めて高いことが知られている。この表皮細胞に、パーティクルボンバートメント法を用いて、ゲノム編集技術を用いて設計したプラスミドを導入することで、2つのMCA遺伝子のノックアウトを行うことを試みる。 ・セントポーリアMCAチャンネルの他種植物への導入:セントポーリアの形質転換系がない現状でCa2+チャネルとして機能するMCAを保有するが、セントポーリアのような温度感受性は示さないゼニゴケやシロイヌナズナに、セントポーリアのMCAを導入することで、温度に応じた細胞内のCa2+濃度変化や、液胞崩壊などの生理応答が誘導出来るかを検討する。 ・培養の過程で、細胞レベルで刺激感受性を持っていると思われる細胞ラインが見出された。現在、その系を維持できるかの検討を進めている。もし、この細胞系を研究に利用することができるならば、植物体再生系を用いずに、細胞レベルで種々の実験が可能になる。 【研究課題2:液胞が崩壊する分子機構は何か?】本研究室では多様な植物群からインタクト液胞を単離する系を確立している。セントポーリアの柵状細胞はかなり特殊な構造をしており、液胞の単離は簡単ではないと思われるが、それに挑戦する。また、温度降下応答を起こさないセントポーリア海綿状細胞の液胞を単離し、液胞膜の脂質組成やタンパク質組成などの違いを検討し、液胞崩壊が生じる生理条件を検討する。また、液胞崩壊には、Ca依存性のプロテアーゼ類が関与する可能性がある。そこで、それらの阻害剤処理などの生理実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
セントポーリア培養細胞の成長が想定より遅いため、実験研究に若干の遅れが生じている。現在、培養細胞量を増やすことでそれに対処し、予定の研究を進める予定である。
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[Presentation] Functional analysis of Na+-coupled phosphate transporter of Chara braunii2024
Author(s)
Tetsuro Mimura, Hitomi Fujiwara, Naoki Muranishi, Miwa Ohnishi, Tomoaki Nishiyama, Satomi Kanno, Kimitsune Ishizaki, Hidehiro Fukaki, Hidetoshi Sakayama, Robert Reid, Maki Katsuhara
Organizer
(一社)日本植物生理学会第65回年会
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