2020 Fiscal Year Research-status Report
葉枕の力学的な可塑性を担う細胞壁発達制御メカニズムの解析
Project/Area Number |
20K06707
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高原 未友希 (中田未友希) 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (60707579)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 力学的可塑性 / 細胞壁 / 葉枕 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、一般的な組織とは異なるユニークな力学的特性を持つ組織として、マメ科植物の「葉枕」に着目している。葉枕はマメ科植物の葉の日周性の運動(就眠運動)や刺激に応答した素早い運動(オジギ運動など)を司る組織であり、伸展と収縮の反復を可能にする力学的な可塑性を有する。本研究では、葉枕の力学的な可塑性を担う細胞壁の特性を明らかにし、その発達過程を制御するメカニズムを遺伝子レベルで明らかにすることを目指している。 当該年度中に、葉枕の細胞壁特性を明らかにするため、FTIRおよびUPLCによる葉枕細胞壁の成分分析を行い、茎や葉柄との比較解析を行なった。その結果、茎や葉柄とは異なる細胞壁特性を持つことが明らかとなった。また、葉枕の細胞壁がどのように形成されるかを調べる前段階として、発達段階と運動性との関連性を調べた。その解析のため、シングルボードコンピュータであるラズベリーパイと赤外線PiNoirカメラおよび赤外線LEDライトを用いて撮影システムを構築し、タイムラプス撮影を実施した。タイムラプス解析の結果を踏まえ、葉枕の発達ステージを定義した。その定義に従い、それぞれのステージごとにRNA抽出を行なった。現在、同試料を用いてRNA-seq法によるトランスクリプトーム解析を行なっている。今後は、トランスクリプトーム解析の結果を元に、葉枕の発達と細胞壁関連遺伝子の発現レベルとの相関解析や、同定された個別の遺伝子の解析を進める計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FTIRおよびUPLCによる葉枕細胞壁の成分分析を行うなど、細胞壁の解析を実施した。また、葉枕の運動性を調べるための撮影システムも構築した。さらにトランスクリプトーム解析を行い、すでにデータを得ており、当初計画どおりに研究が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は葉枕の細胞壁成分についてより詳細な解析を実施するとともに、トランスクリプトーム解析のデータ解析を実施し、葉枕の発達に関連する細胞壁関連遺伝子を同定する。また、撮影システムについて、より多くの植物体を同時に撮影するための改良を行う。また、同定された遺伝子について、機能解析を行うための準備を進める。
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Causes of Carryover |
産前産後休暇により研究計画を後ろ倒しにしたため、一部物品の購入を次年度に延期した。繰り越した研究費は実験に用いる消耗品の購入に使用する計画である。
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