2020 Fiscal Year Research-status Report
傷口の組織治癒を制御するWOX転写因子とペプチドホルモンの機能解析
Project/Area Number |
20K06712
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
池内 桃子 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (00633570)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 傷害応答 / カルス / 接ぎ木 |
Outline of Annual Research Achievements |
・今年度は、WOX 転写制御因子によるカルス形成と接ぎ木形成の制御機構の解明に取り組んだ。特に、葉柄を用いた接ぎ木の実験を精力的に行い、接ぎ木形成メカニズムの解明を進めた。カルスで蛍光を示すことがすでにわかっているWOX-GFP の形質転換体を用い、接ぎ穂のみあるいは台木のみを形質転換体、接ぎ木の相手には野生型の植物を用いた接ぎ木実験を行った。継ぎ面に形成されたカルスのGFP 蛍光を観察したところ、接ぎ面に形成されるカルスが主に接ぎ穂由来であることを突き止めることができた。一方、接ぎ木能をもつ野生型植物と、接ぎ木能をもたない変異体を相互に接ぎ木する実験を行ったところ、接ぎ穂のみならず台木の遺伝子型も、接ぎ木の成立には寄与していることが分かった。
・WOX の標的遺伝子群を探索するために、クロマチン免疫沈降法とトランスクリプトームのデータを照合し、遺伝子オントロジーのエンリッチメント解析を実施した。その結果、細胞壁関連遺伝子群が高度にエンリッチしていることが明らかになった。
・WOX の標的遺伝子候補として着目しているペプチドホルモンについては、CRISPR/Cas9のゲノム編集を用いた変異体の作出を進めることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に接ぎ木の実験系については様々な条件で実験を進めることができ、遺伝子の機能解析のとどまらず接ぎ木形成の制御メカニズムに関して重要な知見を得ることができた。標的遺伝子群の機能解析の方は少し遅れているが次年度以降に集中して進める予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を論文として発表するとともに、次の展開として標的遺伝子候補の機能解析を進める。
|
Causes of Carryover |
購入を予定していた機器を、購入せずに使うことができたため。
|