2022 Fiscal Year Annual Research Report
傷口の組織治癒を制御するWOX転写因子とペプチドホルモンの機能解析
Project/Area Number |
20K06712
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
池内 桃子 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 特任准教授 (00633570)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 器官再生 / 組織治癒 / カルス / 接ぎ木 / 転写制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物は高い再生能力を持っており、傷口を塞いで切れた器官をつなげることができる。我々はこれまでに、WUSCHEL-RELATED HOMEOBOX 13(WOX13)が切断刺激によって発現誘導され、カルスを形成して傷を塞ぐこと、さらに接ぎ木において器官をつなげる重要な役割を果たすことを見出してきた。本年度は、新たに植物ホルモンであるオーキシンがWOX13の発現を制御する可能性について、多角的に検討を進めた。まず、傷シグナルとは独立にオーキシンがWOX13の発現を誘導できるかどうかを調べるために、無傷の根にオーキシンを投与しWOX13-GFP の蛍光観察を実施したところ、投与後6時間以内には発現が強く誘導されることが明らかとなった。さらに、共同研究によってホルモン分析を実施し、切断後の葉柄について切断面の上部と下部でオーキシン含有量を比較したところ、切断後3.5時間の時点で上部の方が下部よりもオーキシン量が多いという結果が得られた。この結果は、切断上部でオーキシンが蓄積することでWOX13の発現を誘導し、活発なカルス形成を誘導するという我々の仮説を支持する結果であると言える。上記のデータ及びこれまでに得られていた結果を併せて、原著論文として発表した。
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