2020 Fiscal Year Research-status Report
Mechanisms of osmoregulatory diversification in stickleback
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20K06720
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
日下部 誠 静岡大学, 理学部, 准教授 (40451893)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 真骨魚類 / イトヨ / イオン輸送体 / 海水適応能 / 両生類 / ウシガエル / 腎臓 |
Outline of Annual Research Achievements |
広塩性魚のイトヨには、海水適応能が高い集団と低い集団が存在する。これらの塩分耐性が異なる集団を比較することにより、浸透圧調節能の多様化のメカニズムの解明することを目的とした。しかしながら、2020年度はCOVID-19の影響により、実験に用いるイトヨを入手することが出来なかった。そこで、実験動物として入手が可能だったウシガエルの幼生を実験動物に加えた。浸透圧調節能の多様化メカニズムの解明、特に海水適応能の喪失の関するメカニズムの解明は、淡水域から地上進出をとげた四肢動物の進化との関連も視野に入れている。イトヨを含む真骨魚類では、鰓が浸透圧調節の中心的な役割を担っていることが知られている。先行研究により、ウシガエル幼生もナトリウムの調節を鰓によって行っていることが示されている。ところが、現在知られているほぼすべての両生類は海水適応能を持っていない。そこで、カエル幼生の鰓と海水適応能を喪失しているイトヨの鰓における浸透圧調節機構を比較解析することにより、陸封化と陸上進出の関連性を検証することが出来ると考えた。そこで、ウシガエル幼生におけるイオン輸送体・チャネル遺伝子の発現している組織を確認した結果、ウシガエルの幼生では、鰓ではなく、腎臓においてイオン輸送に関わる遺伝子の発現が観察された。それらの遺伝子の発現部位をin situ hybridization法により解析した結果、イオン輸送に関わる遺伝子は、ウシガエル幼生の遠位尿細管に多く発現しており、鰓を主要な浸透圧調節器官として用いていないことを示す結果だった。魚類から両生類への浸透圧調節の進化を考察する上で、鰓における浸透圧調節メカニズムだけではなく、腎臓などの浸透圧調節器官を総合的に解析する必要性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19の影響により、十分なサンプルを確保することが出来なかった。また、時間的にも研究に従事する時間を十分に確保することが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度はCOVID-19の影響は依然としてあるものの、イトヨを確保する方法が確立されてきた。2020年度のウシガエル幼生を用いた解析より、浸透圧調節のメカニズムの解析は、鰓だけではなく腎臓などの浸透圧調節器官に関して総合的に解析を進める必要性が示された。今後は、発現解析には鰓だけではなく、腎臓、腸などの浸透調節器官も解析に加え、総合的な浸透圧調節メカニズムとして解析を進める。まずは、当初予定していた、イトヨのナトリウム-クロライド共輸送体(NCC)の遺伝子発現解析を完了する。2021年2月に発表された論文(Nath et al. 2021 Feb, G3, vol 11)により、イトヨが保持する3種類のNCCの全長配列が明らかになった。予備実験により、イトヨの鰓には2種類のNCCが発現しており、浸透圧調節能が高いイトヨと低いイトヨにおいて、その発現パターンが異なっていることが分かっている。そこで、2021年度は、3種類のイトヨNCCを単離し、アフリカツメガエル卵母細胞を用いた発現実験により輸送体の機能解析を行う。遺伝子発現だけではなく、抗体を用いたタンパクレベルでの発現解析も行う。また、イトヨの鰓を用いたATAC-seqの実験系を確立し、3種類のNCCの発現に違いが生じる原因について解析を進める。NCCの機能と発現パターンの違いから、海水適応においてNCCが果たす役割について明らかにする。
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Research Products
(1 results)