2021 Fiscal Year Research-status Report
Morphology and function of fin-ray joints in fish
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20K06727
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
矢野 十織 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (10648091)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 関節 / ゼブラフィッシュ / 骨 / 鰭 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、ゼブラフィッシュの鰭に存在する鰭節間関節の組織学的・分子生物学的・運動学的特性を明らかにし、脊椎動物に広く共通した関節構造との差異を抽出することが主目的である。本年度は①鰭節間関節の組織レベルでの解析に加えて、②比較対象としての関節構造の選定、③深層学習による運動画像解析に着手した。 ①本研究では鰭節間関節形成に関わるEven-skipped homeobox 1(evx1)遺伝子に着目し、鰭節間関節細胞を可視化する遺伝子組換えゼブラフィッシュを利用して解析を行ってきた。本年度は鰭節間関節における滑液の局在を明らかにするために、滑液構成因子の免疫組織化学染色法を検討した。現時点までで、簡便なパラホルムアルデヒド固定・凍結切片・賦活化処理によって滑液構成因子の局在を可視化することに成功しているが、滑液構成因子をコードしたmRNAの局在とは異なるバックグラウンドが高く生じている。解決法として染色工程の変更にも成功しており、鰭節間関節細胞で産生された滑液構成因子が当初想定されたよりも広範な組織分布することで関節可動性に影響している可能性が新たに得られた。 ②申請段階では他動物種(両生類など)を用いた関節構造の比較解析を例示したが、本年度は同一種(ゼブラフィッシュ)を対象に比較解析ができないか検討した。鰭節間関節のサンプリングと同時に得られる関節構造のうちで、ヒト・マウスと立体構造が類似する形態を見い出すことができ、次年度は分子レベルで検討する予定である。 ③形態と機能の整合性は運動学的解析によって明らかとなるが、申請書にも例示したヒトROM検査の魚類への適応は合理的であるものの一側面性をぬぐい切れない。本年度はPythonベースの画像解析法(YOLOv5, DeepLabCut)を新たにセットアップすることができた。次年度にデータ取得と多面的な統計処理の検討をする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子組換えゼブラフィッシュを利用して標識した特定細胞のRNA-Seq解析を行う研究計画(1)を予定しているが、サンプル調整(細胞集団の回収)に至っていないため、計画に遅れが生じている。一方でその他の計画(関節可動性制御因子の組織学的解析計画(2)と、コンピューターを用いた運動解析法のセットアップ計画(3))は予定通りに進んでいる。したがって本年度までの進捗状況としては全体としてやや遅れていると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画初年度に予定していた、遺伝子組換えゼブラフィッシュを利用して標識した特定細胞のRNA-Seq解析計画(1)について、次年度前半までに研究機器のセットアップなど環境構築する予定である。また実際のRNA-Seq解析と評価については、次年度後半(9-11月)に十分な時間と人員を割くことが可能となったため、仮に前半作業が遅れてもキャッチアップできると考えている。 関節可動性制御因子の組織学的解析計画(2)と、コンピューターを用いた運動解析法のセットアップ計画(3)については、現時点で3名の研究協力者(大学生)と共にウェット・ドライ解析の両面から遂行している。昨年度は学会発表・論文公表共に叶わなかったため、次年度は積極的な成果発表ができるよう研究体制を整える。
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Causes of Carryover |
(1)研究計画の1つである特定標識細胞の抽出とRNA-seq解析を行うために、経費を計上していたが、本年度までにまだ着手できていない。次年度に解析に係る時間と人員を捻出できるため、研究計画の順序を後ろ倒しにして、これを次年度使用する計画である。(2)また申請書作成段階ではROM検査法構築のために設備備品費(50万円以内)を2個申請したが、うち1つは世界的な半導体不足で現在までにデモ使用ができておらず、発注・購入に至っていない。次年度にデモを行う予定であるが、今年度に購入済みのカメラ1台と同一のものをもう1台追加購入することで、研究計画を予定通りに遂行できる可能性が研究遂行過程で浮上している。関係部署と相談のうえで、申請通りの機器を購入するか、物品を変更するかを検討し、次年度のうちに経費使用をしたいと考えている。
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Research Products
(1 results)