2021 Fiscal Year Research-status Report
マウスモデルと数理モデルを利用した視覚二元説の解明へ向けた構成的アプローチ
Project/Area Number |
20K06737
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
櫻井 啓輔 筑波大学, 生命環境系, 助教 (20647317)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 視細胞 / マウス / オプシン / 網膜 / 錐体 / 桿体 |
Outline of Annual Research Achievements |
錐体視細胞の生理機能に錐体オプシンの速い光反応性がどのように寄与するのかを調べる為に、桿体様の遅い光反応性を示す錐体オプシン変異体を発現させ光応答特性への影響を調べる。この目的のため200番目のプロリン残基をイソロイシン残基に置換したマウス緑錐体オプシン(mGrP200I)を発現するノックイン(KI)マウスの作製を行いF0世代の個体を得ていた。本年度は作製したKIマウスの表現型解析を行った。まず、暗順応させたマウスの眼に光刺激を与え発生する光応答(網膜電図)を測定したところ、KIマウスでは錐体視細胞に由来する応答が野生型に比べて著しく減弱していた。さらに、抗マウス緑錐体オプシン抗体を用いて網膜組織について免疫染色を行ったところ、野生型では錐体視細胞の外節に発現が見られたのに対してKIマウスでは錐体オプシンのシグナルは観察されなかった。これらの結果から、KIマウスではmGrP200I変異体タンパク質の発現量が低下していると考えられたため、その原因を検証する為にmGrP200Iの転写産物を調べた。その結果、mGrP200I遺伝子はスプライシング異常によりエクソン4が欠損した異常なmRNA が転写されていることが分かった。そこで次に、イソロイシン残基をコードする他の縮重配列を200番目のプロリン残基に導入し、新たなKIマウスの作製を行った。現在新たに3系統のKIマウスが得られ、その表現型を解析中である。 また、錐体オプシン遺伝子に点変異ではなくロドプシン遺伝子を導入するDNAコンストラクトを構築し、現在ゲノム編集法によりノックインマウスを作製中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度に作成したKIマウスは予想に反して錐体オプシン変異体の発現量が低かったため、生理機能の解析は遂行には至っていない。だだし、新たなKIマウスの作製は順調に進んでおり、発現量の問題は克服される見込みがあることから、やや遅れていると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
新たに作製したKIマウスの網膜における錐体オプシン変異体の発現量や局在の解析を行う。錐体視細胞の生理機能を詳細に調べるために、桿体トランスデューシン(Gnat1)欠損マウスやロドプシンキナーゼ(GRK1)欠損マウスと交配し、網膜電図やパッチクランプ法を用いて、光感度や応答速度、明順応、暗順応の解析を行う。ま錐体オプシン遺伝子座にたロドプシン遺伝子を導入し、錐体視細胞にロドプシンが発現するKIマウスの作製を行い、同様に表現型解析を進める。
|