2020 Fiscal Year Research-status Report
新規組織密着型センサーを用いた生体リズムの乱れが惹起する疾患の発症機構解明研究
Project/Area Number |
20K06745
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
浜田 俊幸 国際医療福祉大学, 薬学部, 准教授 (20360208)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 体内時計 / Period1 / 時計遺伝子 / 生体リズム / 生体リズムの乱れ / 発光計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、疾患発症メカニズムを明らかにする目的で、まずは体内時計の乱れの指標となる時計遺伝子発現リズムを中枢および末梢複数組織で、独自に開発した組織密着型センサーシステムを用いて発光計測を利用して長期間計測する。そして生体リズムの乱れから糖尿病や睡眠障害などの疾患発症を極めて初期段階から同定し、発症機構解明の基盤となるシステムを構築することを目的としている。今年度は、中枢と末梢組織の時計遺伝子Period1(Per1)遺伝子発現リズムを長期間安定して計測できるシステムの構築に成功した(ito et al., Luminecence, 2020, Hamada K et al., BBRC, 2020, Nakajima et al., 2021)。脳には先端特殊加工した光ファイバーを末梢組織には組織密着型センサーを開発し、自由行動マウスの嗅球、大脳皮質、視交叉上核、肝臓、皮膚のPer1遺伝子発現リズムをリアルタイムに計測できた。さらに数カ月以上の計測には、発光基質であるD-luciferinを少なくとも7日毎にフレッシュな溶液をマウスに供給することで可能になることも報告した。確立した遺伝子発現計測法をもちいて、糖尿病に密接に関与している体内時計遺伝子発現をリアルタイムに解析した結果、発症の初期段階を捉えることが出来た(Knou et al., BBRC, 2021)。STZをマウスに投与し、血糖値、飲水量、体重変化を経時的に計測した。血糖値は投与後3日目に急激に上昇し糖尿病を発症した。その後飲水量増加、体重減少が観察できた。これら糖尿病が発症する過程においてPer1遺伝子発現をリアルタイムに定量解析したところSTZ投与後、1日以内に急激な発現上昇があり、その後発現リズムが消失することが糖尿病の重篤化に重要であることを明らかにし糖尿病の極めて初期段階を捉えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画どおり進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
中枢および末梢のPer1遺伝子発現リズムを長期間、リアルタイムに計測することに成功した。さらにこれらの計測法をもちいて糖尿病が発症する過程においてPer1遺伝子発現リズムを計測することで、糖尿病の極めて発症初期段階を捉えることに成功した。 今後、糖尿病の初期段階であるPer1遺伝子の急激な上昇を、より簡易的に計測するために体毛からの計測を試みる。最終的に体毛1本からのPer1遺伝子発現変化を検出できるシステムを構築する。Per1遺伝子発現の急激な上昇を抑える薬物を網羅的に検索することで、糖尿病初期段階に関与している物質や機構を明らかにし、糖尿病が発症する機構を解明していく。 生体リズムの乱れは糖尿病以外に睡眠障害、癌などの疾患を誘発する危険因子として作用するが、睡眠障害が発症する過程を、上記と同様な方法で行い、睡眠障害が発症する極めて初期段階をPer1遺伝子発現リズムを計測することで捉えることができるか検討していく。
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Causes of Carryover |
学会等に参加する旅費がZOOMによって支出が無くなった。コロナウイルスにより、研究のための時間が制限されたため、実験回数が減り、消耗品や試薬の支出が抑えられた。このため次年度は自由行動マウスのPer1遺伝子発現解析のためのシステムを増やすことに使用する計画で、これによりデータ数を増やしていく。
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[Presentation] マウス生体リズムに対するメタンフェタミン長期投与の影響2020
Author(s)
Mizuki Nakaya, Ryousuke Sato, Kouki Nagasawa, Yukina Yoshida , Juri Hayashi, Yuki Ishi, Masayori Ishikawa, Mitchitaka Ozaki, Kazuko Hamada, Toshiyuki Hamada
Organizer
第94回 日本薬理学会年会
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