2021 Fiscal Year Research-status Report
H2A.ZとH2A.Xに着目したエピゲノム変化と乳癌発生分子機構の解明
Project/Area Number |
20K06756
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田辺 真彦 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (30572333)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 乳癌 / エストロゲン / H2A.Z / H2A.X |
Outline of Annual Research Achievements |
エストロゲン刺激依存的乳癌発生分子機構の解明にあたり、ERα標的遺伝子の中でH2A.Z, H2A.Xの双方が遺伝子プロモーター領域に存在する遺伝子群の絞り込みを行った。この中には,HBOC症候群の原因遺伝子であるBRCA1/2ではなく、遺伝性乳癌と関連し、DNA2本鎖損傷の相同組み換え修復に関わる遺伝子群が含まれていた。このため、BRCA1/2に加え、PALB2, CHEK2, BARD1, ATM, RAD51C, RAD51Dのエストロゲン刺激依存的発現変動を評価することとした。月経サイクルのような周期的エストロゲン刺激が、乳癌の易罹患性に関わる遺伝子群をエピゲノムレベルで制御していることが明らかとなれば、乳癌発生分子機構の一端が明らかになる可能性がある。エピゲノムレベルでBRCA1/2およびPALB2, CHEK2, BARD1, ATM, RAD51C, RAD51Dの発現が抑制されていることがDNA2本鎖損傷の相同組み換え修復不全に直結しているとすれば、体細胞レベルでhomologous recombination deficiency(HRD)を直接評価することの意義が高まる。 乳癌細胞株MCF7細胞株を用いて、エストロゲン刺激および枯渇条件下において相同組み換え修復にかかわる遺伝子の発現に変化を認めるか、ウエスタンブロッティングを用いて検討した。48時間のエストロゲン刺激やエストロゲン枯渇状態では発現タンパク質量に変化をうかがわせるデータは出なかった。さらに長く8日間のエストロゲン刺激状態、エストロゲン枯渇状態さらにエストロゲン枯渇と刺激を繰り返すサイクルとういった条件で検討したところ、ウエスタンブロッティングのバンドで一部のタンパク質発現が変化している可能性があるデータを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
BRCA1/2に加え、PALB2, CHEK2, BARD1, ATM, RAD51C, RAD51Dのエストロゲン刺激依存的タンパク質発現変動を安定して評価できるまでに時間を要した。また、エストロゲン刺激の有無によるDNA2本鎖損傷修復に関わるタンパク質群の発現変動は予測していたよりも小さいものであった。
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Strategy for Future Research Activity |
DNA2本鎖損傷修復に関わるタンパク質群の発現変動は、エストロゲンの有無で劇的な変化は認めなかった。エストロゲン受容体ERα、H2A.Z、H2A.Xの抗体を用いたChIPアッセイ(公共データベース)から、乳癌発生に関わる遺伝子群を再度絞り込むことから着手し、ChIP-seqを実施する計画である。
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Causes of Carryover |
2021年度までには計画していたChIP-seqまで実施することができなかったため、支出が少なかった。2022年度は、前年度までの残額+本年度分の経費に応じたChIP-seqを実施する計画である。
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