2023 Fiscal Year Annual Research Report
バイオマーカーを利用した耐乾性コムギ育種法の確立および代謝物QTL解析
Project/Area Number |
20K06759
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
妻鹿 良亮 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (80738526)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 節水型耐乾性 / コムギ / 光合成関連形質 / QTL解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、自然交配集団からの節水型耐乾性系統の探索と、節水型耐乾性系統のより簡便な選抜方法を確立することを目的にそれらの形質と相関する代謝物(バイオマーカー)の探索を実施した。R2,3年度では、以後の年度で圃場試験の実験材料として使用する組換え自殖系統(RIL)集団(222系統)の作出を行うとともに、RIL集団の親系統である農林61号あるいは節水型耐乾性のモデル系統であるアブシシン酸(ABA)受容体過剰発現コムギを進行性の乾燥ストレス下で栽培し、メタボローム解析を行い、耐乾性に関与するバイオマーカー候補を同定した。R4、R5年度シーズンにて系統固定が完了したRIL集団を、鳥取大学乾燥地研究センターのレインアウトシェルター圃場にて栽培試験を実施し、出穂開花期のタイミングで厳格な土壌水分の制御によって湿潤区と乾燥区を作り出し、それぞれの環境下で光合成関連形質の測定とメタボローム解析に供試するサンプルの採取を行った。また、収穫した植物体の植物体長、植物体の総重量、地上部重量、穂および種子数、重量の計測を実施した。R5年度に取得した形質データと当該集団のDNAシーケンスデータから解析パイプラインを使用してQTL解析を実施した。その結果、植物体長において未知のQTLを見出した。また、メタボローム解析用に採取したサンプルをLCMSで分析し、乾燥ストレスによって誘導される内生ABA量の定量を行った。そのデータを基にQTL解析を行った結果、有意ではないものの、高いLODスコアを持ったピークが複数確認できたため、今後は見出されたピークの多型解析を進め、原因遺伝子の同定を行うとともに節水や耐乾性に関わる遺伝子がもつ変異のタイプについても同定を進める。
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