2022 Fiscal Year Research-status Report
Population genomic studies of social evolution
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20K06765
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
植松 圭吾 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 助教 (00793861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
印南 秀樹 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 教授 (90444140)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 社会性昆虫 / 進化 / 集団ゲノミクス / アブラムシ |
Outline of Annual Research Achievements |
社会性の進化に関わるゲノム領域を特定することは、その進化の法則を探る上で重要である。昆虫を始めとした社会性生物では、多様な種におけるゲノム解読が進んでいるものの、集団間にはたらくゲノムレベルでの自然選択の検出に関しては、解析が不十分である。本研究課題では、社会性アブラムシにおいて複数集団・複数個体の全ゲノム配列を取得し、集団の歴史を考慮した集団ゲノミクス解析を行うことで、社会性進化に関与したとされるゲノム領域を特定する。 2022年度は、前年度に引き続き、日本全国に分布するボタンヅルワタムシColophina clematisの地域集団(東北・関東・中部・中国・九州地方)において、1次宿主植物世代・2次宿主植物世代から採集を行い、その中の遺伝的に異なる個体からDNAを抽出し、ライブラリーを調製後、全ゲノムの再シーケンス解析を行った。得られた計60個体の塩基配列情報から集団内のSNPデータを取得し、集団構造・動態の推定をおこなった。また、Hi-Cライブラリーを調製後、シーケンスを行い、領域間の空間的な近接性を解析することで、すでにある参照ゲノムから染色体スケールでのゲノムスキャフォールディングを行った。その結果、大部分の領域が実際の染色体数(2n = 10)と同数の空間的に近接した27-101Mbのグループに分配された。また、オスとメスの胚からゲノム抽出を行い、それぞれのゲノム配列をシーケンス解析し、上記のゲノム配列にマッピングすることで、性染色体の配列を特定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本全国の集団から全ゲノム再シーケンスデータが得られ、集団ゲノミクス解析に必要なデータが得られている。また、染色体スケールでのゲノムアセンブリが得られており、性染色体と常染色体それぞれに生じた自然選択を解析することが可能となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に採集を行ったサンプルについてシーケンス解析を行い、データを追加するとともに、染色体スケールでアセンブルしたゲノム配列を利用して、自然選択の働いてきたゲノム領域を特定する。特に性染色体・常染色体ではたらく自然選択の違いに着目し、解析を行う。加えて、兵隊特異的に発現する遺伝子がどの染色体に多く存在し、どのような自然選択を受けるかについて解析する。
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Causes of Carryover |
22022年度後半に採集を行ったサンプルについてのゲノムライブラリー調製および全ゲノム再シーケンス解析が年度中に完了しなかった。そのため、これらのサンプルの全ゲノム再シーケンス解析に関する試薬の購入費用・シーケンス解析費用に使用する。
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