2023 Fiscal Year Annual Research Report
Population genomic studies of social evolution
Project/Area Number |
20K06765
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
植松 圭吾 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 助教 (00793861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
印南 秀樹 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 教授 (90444140)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 社会性昆虫 / 進化 / 比較ゲノム / 集団ゲノミクス / アブラムシ |
Outline of Annual Research Achievements |
社会性の進化に関わるゲノム領域を特定することは、その進化の法則を探る上で重要である。昆虫を始めとした社会性生物では、多様な種におけるゲノム解読が進んでいるものの、集団間にはたらくゲノムレベルでの自然選択の検出に関しては、解析が不十分である。本研究課題では、社会性アブラムシにおいて複数集団・複数個体の全ゲノム配列を取得し、集団の歴史を考慮した集団ゲノミクス解析を行うことで、社会性進化に関与したとされるゲノム領域を特定する。 本年度は、ボタンヅルワタムシ(Colophina clematis)の染色体スケールでアセンブルしたゲノム配列を用いて、約60個体の全ゲノム再シーケンスデータから、各染色体にはたらく自然選択について解析した。その結果、兵隊分化に伴い発現変動する遺伝子は1本の常染色体に有意に多く存在し、その染色体は他の染色体よりも低い塩基多様度を示した。また、性染色体上には兵隊分化に伴って発現変動する遺伝子の数が常染色体と比べて有意に少なく、常染色体の約2倍の塩基多様度を示した。上記の結果は、ボタンヅルワタムシの集団内で、兵隊分化に関わる遺伝子について安定化選択がはたらくとともに、その生活環において有性生殖が必須ではないボタンヅルワタムシでは、性染色体における選択圧が緩和されていることを示唆している。本研究の結果から、社会性アブラムシの集団内においてゲノムレベルではたらく自然選択を染色体スケールで推定することが可能となった。
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Research Products
(1 results)